脱自動車に舵を切る

光塗装工業(本社・愛知県海部郡、代表取締役社長・岩村晃治氏)は3年前、売上の半分を占めていた自動車部品の塗装受注を止めた。厳しい単価競争や生産効率などを熟考した結果、「"超"量産品を追うのではなく、現状の設備を生かした最適な塗装を追求していく」(岩村社長)方針に切り替えた。


自動車産業が盛んな愛知県。この地に工場を構える同社にとっても自動車部品はメインの営業品目であった。塗装加工費のみではなく、資材を購入してから塗装加工し販売する形をとるため、売上という面でもその割合は大きかった。その中で"脱自動車"を決断した理由について岩村社長は「複合的なもの」と言う。

大きな理由の1つが厳しい単価競争に巻き込まれていることだ。自動車メーカー(部品メーカー)からは定期的に単価削減が求められる上、同社が競争するのは塗装専業者ではなく成型加工から塗装仕上げまでを行う大手成型メーカー。量産品の工程管理能力を備えるための設備投資も必要になり、費用対効果を考えると「将来性を考えても有効ではない」との判断だ。

もう1つが生産効率の観点だ。自動車部品では年度末の1月~3月が繁忙期であり、その時期に塗装ラインが稼働率100%になるように体制を整える必要がある。そうすると通常期では稼働率が下がってしまい、年間を通すと効率は悪い。

塗装仕様や品質管理の基準が厳しい自動車部品に対しては専用の塗装ラインで対応しなければならないため、閑散期にスポット的に他の品物を塗装ラインに流すということは難しい。

当時、並行して行っていた鉄道車両関連の塗装に成長性を見出していたこともあり、"脱自動車"に舵を切った。

同社が受ける鉄道車両関連の塗装は特殊な塗装であり、「これまで培ったノウハウを生かせる。技術をかってくれる業界に力を注いでいきたい」考えだ。着実に実績を重ね、このほど3車種の受注が決まり、止まっていた塗装ラインがフルで動き出す。

岩村社長は「塗装の技術をどう売るか」を改めて重視している。「加工業である我々は独自性を表に出すのが難しい。自分たちの技術がどれほど難しいものなのか自覚できていないとも言える」との思いから、今後は展示会出展なども考えている。

同社では化成処理、電着塗装、溶剤塗装、粉体塗装と多種多様な塗装仕様を組むことができる。最適な塗装を提供するためにも、何ができるかを広くPRすることを重視する。

4年前から生産技術部署を設置。量産前に顧客との交渉を行い、それを現場に落とし込んでいる。最適な塗装を行うために図面を直してもらうことも少なくないという。



光塗装工業
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