ヒートエナジーテックは東京ガスと共同で水素直接燃焼式熱風発生装置「AH-NMH2」を開発し、3月24日に販売を開始した。カーボンニュートラル時代を見据え、エネルギーソリューションカンパニーとして脱炭素社会への貢献を目指していく。また、水素と都市ガスなどを混焼できる熱風発生装置も開発し、多様な要望に応える製品開発力でカーボンニュートラルの取り組みをサポートする。

「AH-NMH2」は燃焼時にCO2が発生しない水素を燃料にすることで、CO2排出量ゼロを実現。水素は都市ガスや天然ガスと比べて燃焼速度が速いため、取り扱いが難しいという課題があった。それを燃料と空気の混合を最適化したことで燃焼をコントロールすると同時に、温度が上がりすぎることによるバーナの損傷を防ぐ。

水素燃焼時に発生する窒素酸化物(NOx)を天然ガス燃焼と同等の120ppm以下(酸素濃度=0%換算値、水素専焼)まで抑えている。

水素は燃焼する際にCO2が発生しないが、炉内の水分濃度が高くなる可能性がある。そのため、同社では神奈川工場に併設されたラボに同品を設置しており、水素が燃焼することで及ぼす塗膜への影響なども検証できる。ワークを持ち込んで実証実験できることで、より同装置を導入しやすくしている。

更に、同社では水素混焼式熱風発生装置も開発。燃料は「水素」「水素+都市ガス」「水素+LPG」の3種類に対応し、多様な要望に応える。都市ガスやLPガスに対する水素混合率は1~100%まで対応することが可能で混焼比率の変更は制御盤で行うことができる。その他、窒素酸化物抑制用の排ガス再循環装置、逆火防止装置、窒素パージ装置ガス漏れ警報器などを搭載している。

「カーボンニュートラルの実現に向け、水素を燃料として使用したいが、供給インフラやコストの関係から水素の比率を下げてスタートさせたいという顧客の要望に応えた製品。混合率を変更できることから、段階的に水素に移行することができる。顧客のカーボンニュートラルへの取り組みをサポートできる装置」と自信を示す。

同社では、昨年10月に同装置を需要家に納入。順調に稼働していることから、今年の1月から一般の受注に踏み切った。

「今後もカーボンニュートラルに取り組みたい企業は増えていく。エネルギーソリューションカンパニーとして水素専焼、水素とガスの混焼技術で顧客の支援を行っていく」と技術力を武器に提案を加速させていく。