日本ペイント・インダストリアルコーティングスは工場の塗装ラインに対し、LCA(ライフサイクルアセスメント)を用いてCO2排出量の削減を提案している。以前から省エネ、CO2削減提案を行っていたが、近年ではCO2対策ニーズの高まりから顧客からの要望が高まっている。
同社では企業の設備投資の動きについて「新ライン、設備更新案件どちらでも今はCO2対策が必須のテーマとなっている。
生産工場全体でエネルギー低減を図る際、最もエネルギー負担が大きいのが塗装プラントであり、そこでの省エネ・CO2削減の重要度は高まっている」との見方を示す。
その中で、同社は塗料メーカーとして塗料事業だけでなく設備エンジニアリング事業を有しており、前処理、塗料、設備のトータルで最適な塗装プラントを提案できるのが大きな強みとなっている。
例えば塗料に関しては、低温化、水性化、ハイソリッド化などに取り組んでいる。低温化では、乾燥工程の焼付乾燥温度を下げることでエネルギー使用量の削減が期待できる。同社では継続して溶剤塗料、水性塗料、粉体塗料の各塗料系で低温焼付タイプの開発を積極的に進めている。
一方、水性化については、熱容量が小さい被塗物の場合は、水性塗料の低いCO2排出量と相まって溶剤塗料よりも水性塗料の方が環境負荷の低減を図ることができるとして、塗装ラインや被塗物に合わせた提案を行っている。
また、設備に関しては廃熱利用技術を駆使した提案を行っている。例えば、電着塗装で発生した使用水を排水処理するのではなく、排水を蒸発・気化させることで無排水化できる。その際に使用する熱を乾燥炉の熱源として廃熱を利用することで効率的なCO2削減につながる。
更に設備からの省エネアプローチとしては、乾燥炉設備を遠赤外線式+熱風式にすることで被塗物の昇温効率を高めたり、ヒートポンプ技術を駆使して熱エネルギーを生み出したりするなどしてCO2削減を図っている。
同社では顧客に対し、現行の塗装プラント設備と比較し30%のCO2削減の実現を目標として提案活動を行う。脱炭素社会へと進む中、塗料種類、塗装仕様、設備プラント、更には輸送においても最適化を図ってCO2削減に寄与する提案を推し進めることで事業拡大を目指す。