塗料配合を自動算出、無料ソフト化

工業塗装専業者のヒバラコーポレーション(本社・茨城県東海村、代表取締役社長・小田倉久視氏)は、塗料とシンナーの配合を膨大なデータベースをもとにAIによって算出する「配合条件アドバイザー」をフリーソフトで展開することを決めた。工業用塗料だけでなく建築塗料でも使用でき、1液、2液、溶剤系、水系にも対応する汎用性があり、来年3月をめどにスタートさせる。


同社は塗装専業者としてのノウハウを生かして遠隔地塗装工場支援システム「HIPAX(ハイパックス)」を自社開発し、市場展開を進めている。

HIPAXはロボット塗装支援、前処理センシングシステム、生産管理システム(塗装プロセス管理)、資材支援などの機能があり、今般、その1つである配合条件アドバイザー機能をフリーソフトで展開する。近年、塗装の現場で問題となっている人材不足や品質管理の面で支援できるシステムとして広く活用されることを期待する。

塗料は粘度が高すぎるとひび割れの原因となり、逆に足りないとタレの発生につながるため、適切な配合量の維持が求められる。

ただし、塗料の調合は、作業現場の温度や湿度といった環境の影響を受け配合するシンナー量などは微妙に変わるため熟練を要する作業となる。調合がうまくいかずに作業を何度か繰り返し、不要となった塗料を廃棄することも少なくなく、時間的ロスも発生する。

加えて塗装現場では熟練工が減っている問題が起こっており、「熟練工のいない現場ではスムーズに粘度調整ができず、大きなタイムロスの要因となっている」(小田倉社長)現状がある。

データベースをもとに配合値を算出

「配合条件アドバイザー」は同社が10年以上にわたって実際に塗装現場で使用しながらデータベース化したものがもととなっている。これまでは自社サーバーで使用していたが、これを設計し直しクラウド化して、より使いやすいシステムとして開発した。

同社のデータとユーザーの環境データをもとに、AIのディープラーニングを用いて最適の配合量を算出する仕組み。データのやりとりはインターネットを通じてリアルタイムに行うことができるため、熟練工のいない現場でも配合のタイムロスを大幅に削減することができる。

データについては、ユーザー専用のデータベースに記録され、ヒバラコーポレーションのデータベースも常に更新されるため、使用するごとにブラッシュアップされ精度は高まるという。

システムの流れとしては①塗料配合比率、温度、湿度を含めたデータをシステムに入力し塗料配合条件のデータベースを作成②データベースから温度、湿度に応じた塗料粘度の方程式を導き出してシステムのアルゴリズムに組み込む③塗装作業を行う当日の塗料、温度、湿度をシステムに入力することで、過去の実績データから最適な塗料粘度を出力するというもの。

塗装のデータベース化を進める

今回、ソフトを登録制の無料展開することについて小田倉社長は「塗料調合による塗料廃棄量の削減を実現し、サスティナブルな社会に貢献したいという思いがある。同時に塗装の現場でデータベース化を広げていきたい」と述べ、広く展開していく意向。

塗装の現場においても、省人化や生産効率、品質安定化が期待できるデータベース化は求められている。特に工業塗装では、最終塗膜に起因する要素が多く、塗料調合、前処理、塗装、焼付乾燥の工程の中でさまざまな要素が含まれている。

小田倉社長は「塗装の品質を安定化させるための要素は複雑であり、その1つである塗料調合の作業をデータベース化できれば、そこの管理や分析は可能となる。そのため、あとは他の要素で考えればよい。そうやって1つひとつの作業や工程をデータベース化することが重要」との見方を示す。

同社はこれまで自社で培ってきたデータベース化やIoT、AIを駆使しHIPAXを展開してきた。市場では製造業の生産管理システムは数多くあるが、塗装専業者が自社でソフトウエアから開発したシステムは他では見られない。

今回はその1つである「配合条件アドバイザー」の新展開だが、今後もより使いやすく汎用性を持たせたシステムを新たに展開していく戦略だ。



配合条件アドバイザーのWeb画面
配合条件アドバイザーのWeb画面
温度と粘度の関係を可視化する
温度と粘度の関係を可視化する

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