神奈川県工業塗装協同組合は「第34回神奈川工業塗装まつり 塗装技能コンクール」を2月22~23日の土日の2日間、そごう横浜店で開催した。コンクール受賞作品に加えて、"匠の技"による作品を展示し、工業塗装の技能をPRした。

神奈川工業塗装まつりは工業塗装従事者の技術・技能の向上を目的として開催している。横浜駅の人気商業施設であるそごう横浜店の9階スペースに、第34回塗装技能コンクール作品をはじめ、神奈川工業塗装協同組合が認定する塗装マイスターの作品などが展示された。

塗装技能とは、スプレー技術だけでなく、塗料調合に関してはその日の温度や湿度によって最適な塗料粘度を確保する必要があり、それに合ったシンナーの選択や希釈率の設定を決める。その塗装技能が均一な塗膜厚、平滑な仕上がり肌、色彩といった品質に寄与している。会場には優れた品質の作品が展示された。

同組合の石川政男理事長は「塗装技能コンクール作品は年々レベルが上がっていて、最近では外国人技能実習生の作品が受賞する傾向が目立っています。当組合の会社の現場でも実習生たちがスプレーガンを握って技能を習得しているということで、これが実習制度本来の姿だと思います。制度は育成就労に変わり、更に試験をクリアすれば特定技能就労者となります。昨年9月に金属塗装が特定技能に認定されたので、今後もそうした作品が増えてくると思います」と塗装技能コンクールを展望する。

今回、指定作品の最高峰である神奈川県知事賞は古谷幸路氏(第一塗装工業)が受賞。古谷氏は4回目の受賞となった。

塗装歴6年目の古谷氏は作品づくりを振り返り「意識しているのは落ち着いてやること」とシンプルだ。「仕事が終わった後や休日に出勤して作品を仕上げています。時期的に忙しく、なかなか仕上がらないときでも落ち着いて焦らないでやることを心掛けています」と作品づくりに向き合っている。会場で他の受賞作品を見ながら、「知らない知識がある」としつつも「うまくできて良かった」と受賞を喜んだ。

また、神奈川工業塗装協同組合は独自に塗装マイスターという認定制度を設けており、今回もマイスター作品が数多く展示された。

石川理事長は「今年も新しい作品が出ており、芸術作品と呼べるような出品も多い。もともと職人は芸術家肌が結構いるので、彼らが能力を発揮してくれている」としてマイスター作品の展示にも工夫を凝らし、ライトアップで作品の見栄えを演出していた。今年6月には神奈川県庁で1週間展示し、石川理事長らが黒岩祐治神奈川県知事に塗装技能の説明を行う予定。

主な受賞作品:〈指定作品〉神奈川県知事賞 古谷幸路氏(第一塗装工業)△神奈川労働局長賞 木下力氏(第一塗装工業)△横浜市長賞 三浦由和氏(神奈川パーカー)△川崎市長賞 大橋瑞生氏(第一塗装工業)△神奈川県職業能力開発協会会長賞 西川孝氏(日栄美装)△横浜企業経営支援財団理事長賞 アンビジョマルカブグオス氏(立神工業)△神奈川県工業塗装協同組合顧問賞 林栄治氏(林塗装工業所)
 〈自由作品〉神奈川県議会議長賞 今成俊文氏(創和美装)△神奈川県中小企業団体中央会会長賞 村石健太氏(テクノコート)△神奈川県技能士会連合会会長賞 西田泰雄氏(西田金属塗装工業所)△日本工業塗装協同組合連合会会長賞 細野渡氏(テクノコート)など。