関西ペイントの「アレスシックイ」が老人ホームの壁画に採用された。同品が画材として使われるのは初めて。塗料の範囲を超えた大胆な使い方に新たな可能性を示した。

今回、「アレスシックイ」が採用されたのは、10月15日にオープンする住宅型有料老人ホーム「パルムドール学園南」(奈良県奈良市)のダイニングルームの壁画。「日常生活の大半を過ごすメインスペースだからこそ、自然のものをふんだんに取り入れた空間にしました」(総支配人・赤木一之氏)と、土壁仕上げの内壁に加えてマホガニーの天然木を天井材とテーブルに採用。更にダイニングルーム中央に囲炉裏型の薪ストーブを設置するなど、落ち着きと温かみのある空間に仕上げた。

壁画は、ダイニングルームのどこからでも目に入るようにと入口に接した壁面に採用。幅4m×高さ1m60cmの壁画が空間に華やかさを与えている。

今回、壁画制作を手がけたのは、テキスタイルデザイナーの島あゆみさん。デザイン事務所「ii-an design(イイアンデザイン)」を主宰し、さまざまな素材を使ったプロダクトデザインを展開。近年は自然をモチーフにしたテクスチャー表現でライフスタイルに合わせたアートシーンを提案している。 

クライアントからの「自然のものをベースに優しい絵に仕上げてほしい」との依頼に島さんが描いたのは多彩な色が折り重なった水面。「内装に木と土が使われていましたので水を取り入れたいと思いました」と、波紋や風景など水面に映る多彩な表情を表現することで四季のうつろいを感じさせるデザインに仕上げた。

その壁画制作の画材に使用されたのが漆喰塗料の「アレスシックイ」。採用の理由について「元々漆喰は体に良い、呼吸感がある、水に強いといった良いイメージがありましたが、本漆喰にはない漆喰塗料の発色の良さと使いやすさが採用の決め手になりました」と島さん。

使い方は画材の使い方そのもの。専用シーラーで下地を整えた後、島さんが用いたのは、刷毛、キッチン用ゴムベラ、パレットナイフなど。凹凸感を出すために骨材を混ぜて削ったり、柄付けのためにチューブに入れて押し出したりと、水性アクリル絵の具との組み合わせにより立体感と風合いを表現。「乾燥が速いためコツをつかむのに少し時間がかかりましたが、絵の具との相性も非常に良かった」と適性を評価した。

関西ペイントの担当者は「通常と異なる使い方に当初は緊張もしましたが、内装需要の創出へ新しい発見が多くありました。今後もいろいろな方に使って頂くことで可能性を引き出していきたい」と話した。