延岡市内に「COLORBAR TERZA」オープン
色彩とペイントの魅力を発信

地方の塗料販売業の新たなビジネスモデルが見えてきた。宮崎県の塗料ディーラー・松山塗料商事(本社・延岡市、社長・松山博文氏)は、地域商圏にペイント文化を広げるための拠点「COLORBAR TERZA(カラーバー・テルッツア)」をオープンさせた。国内の塗料需要が縮小局面にある中、地域の幅広い消費者にペイントに親しんでもらうことで新たな需要を創出、塗料販売業の未来を拓いていく。ポイントは、地域の人たちが集う"場"づくりにある。


同社は先月、延岡市内の幹線道路沿いに体験型ショップ「COLORBAR TERZA」をオープンした。「色」の魅力や楽しさに改めて気づいてもらい、DIYで部屋の壁を塗り替えるなど地域の人たちの暮らしの中に「色=ペイント」が広がるような施設にするのが狙い。築46年の旧本社の建物を洗練されたショップ空間にリノベーションしてオープンした。

メインの商材は、1,320色を揃える自社ブランドのインテリアペイント「UNMUR HABILLE(フランス語で壁の着せ替え)」。来店者が選んだ色をスタッフがその場で調色して手渡す販売スタイルで、手動のディスペンサーで色をつくる作業自体が一般の来店者の興味を煽るパフォーマンスになる。また、次回来店時にオーダーしやすいよう、注文を受けた色のレシピをストックしておく。色をオリジナルカクテルのように扱うスタイルからカラーバーと名付けた。「手づくり」や「パーソナル」といった消費者に響きやすい演出を加えたことで「色」そのものに商品価値を持たせた。

ペイントに加えて、海外製の貼って剥がせる壁紙も提供する。ニューヨーク発のハイセンスなデザインが特徴の壁紙で、100種類以上の柄を用意。ペイントとの組み合わせで実現する上質なインテリア空間=ホームデコレーションの楽しみ方を提供したい考えだ。

このため店内にはこれらのペイントや壁紙をDIY体験できるブースを設けた。実際の作業をレクチャーするワークショップも定期的に開催していく。

また、代理店の立場を利用してマキタの電動工具のレンタル販売も行う。頻度の少ない人はレンタルで、あるいは購入前に試用できるなどDIYを後押しするサービス。電動工具が手軽に扱えることでDIYの幅はグンと広がり、「住まいを楽しむ」スタイルが普及、ペイント需要にもつなげたい意向だ。

店内にはホームデコレーションやDIYアイテムの他、セレクト文具やファンシーグッズなども陳列販売。更にインスタ映えするフォトブースも設えるなど、DIY目的でない人も立ち寄りたくなる仕掛けが施されている。地域の人たちが自然と集まる『何だか楽しそう』なモノやコトが詰まった『場』。それがCOLORBAR TERZAだ。

地域の人が集うハブ(拠点)づくり

同社は建築汎用塗料を主体に自動車補修、船舶、工業用、看板資材などを幅広く扱う塗料販売店。7年前、創業40周年を機に将来へ向けた3つのプロジェクトをスタートさせた。

1つは本社の移転。近接した場所に1000坪からなる事務所と倉庫の空き物件が出たため本社をそちらに移し、在庫力の拡充など塗料販売店としての機能アップを図った。

プロジェクトのもう1つは新業態への挑戦。幹線道路に面した旧本社の場所や建物を活用し、多くの人が集う地域のハブ(拠点)づくりに乗り出した。

まずは旧本社に隣接して惣菜と飲食の「デリカフェLIFE」とインテリア雑貨ショップの「日々喜」を新設オープンした。また、月に1~2回、旧本社の一角を開放してマルシェを開催。ハンドメイド作家の婦人服や子供服、フラワー雑貨、ステンドグラス、季節の野菜など多彩なショップが出店し、マルシェの開催日には家族連れなど毎回多くの来場者で賑う。デリカフェLIFEも惣菜やパン、スイーツなどの美味しさで評判になり、ランチ時にはすぐに満員になる人気店に。塗料販売店だった旧本社は、『暮らしの中のちょっとした楽しみ』を求めて多くの人が集う場所に生まれ変わった。

更に新業態への挑戦では、3DプリンターやUVプリンター、レーザーカッターなどの機械を集めた「ものづくりのラボ」事業をスタート。さまざまな製品の試作や小ロット生産を請け負うなど塗料販売の枠を超え、ものづくりのサポーターとしての事業を開始。製造業や自治体などとの関係を構築した。

こうした集客力や企業としての多様性を養った上で、今回の3つ目のプロジェクト「COLORBAR TERZA」が本格的に動き出した。

松山博文社長は、「店名のTERZAはイタリア語で『3番目』という意味で、当社の3つ目の大きなプロジェクトという意味を込めています。色彩の魅力を伝え、ペイントを当たり前のように楽しむ暮らしを地域に広げていくことが塗料販売業としての長年の夢でもあり、それをこのプロジェクトで結実させたい。とはいえ、"塗る文化"のない日本では一足飛びにはいきません。そのためにまず、食やイベントなど、地域の人たちが楽しみを求めて自然と集う"場"をつくり、その上で、色彩とペイントの魅力を発信、ワークショップなどを通じて親しんでもらう。一般のお客様がペイントに近づいてくれることで、我々の商売も可能性が大きく拓けると思うのです」とペイント文化創出への思いを語る。



体験型ショップCOLORBAR TERZA
体験型ショップCOLORBAR TERZA
オリジナルブランド「UNMUR HABILLE」
オリジナルブランド「UNMUR HABILLE」
オープン初日、多くの家族連れで賑わった
オープン初日、多くの家族連れで賑わった

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