「地域の人たちに、自分らしい部屋づくりの楽しさを伝えたい」と、塗料販売店の店構えからDIYショップのスタイルに衣替えした店舗がある。福岡県久留米市の塗料販売店・サンユー(社長・古舘浩二氏)は昨年秋、DIYのためのレンタルスペースや工具も兼ね備えた「インプルーブヒスイ」としてリニューアルオープン、DIYによる自分らしい部屋づくりの楽しさを発信している。

同社は建築塗料を中心とした塗料販売店。他の地域と同じように地方の塗料需要が漸減していく中で、一般消費者との接点の中から塗料の新たな需要づくりを模索、3年ほど前から店頭販売に力を入れてきた。

このB to Cビジネスを主導したのが同社部長の戸島妙子さんだ(写真)。「私自身もそうなんですが、世の中には『部屋の模様替えが好き』という方が結構いらっしゃいます。季節の変わり目や気分を変えたいときなどに行う模様替えは楽しいもの。でも、日本では家具の位置を買えたり、小物を飾ったり、せいぜい頑張ってカーテンを替えたりするくらいのもので、不完全燃焼な感じは否めません。そこにペイントや壁紙で部屋の壁を大胆に変える選択肢を提案し、もっと満足度の高い模様替え、ワクワクするような部屋づくりのスタイルを地域に広げたかった」と思いを語る。

同社はM&Aによって近郊に新たな拠点を確保できたことから、昨年秋に久留米市津福の旧本店をDIY専門店にリニューアル。インテリアショップのようなファサードに装いを改め、店内もツーバイフォー材の造作やペイント体験コーナーの設置、DIY作業台のレンタルスペースやDIYに必要な各種工具の貸し出しなどのサービスも始めた。

そして同店の代表的なアイテムになっているのがカナダのインテリアペイント「クローバーデールペイント」と、ニューヨーク発の貼って剥がせる壁紙「テンペーパー」だ。両品とも福岡市のインテリアショップ・インプルーブが輸入販売しているもので、海外のテイストが漂うハイセンスなデザイン性がセールスポイント。

「今貼られているビニールクロスの上にペイントすることでお部屋の装いが一新しますし、テンペーパーもシール感覚でとても貼りやすい壁紙。いずれもDIYで手軽にアプローチできるので、部屋の大胆な模様替え、自分らしい部屋づくりの醍醐味が味わえます」(戸島さん)と、DIYを基点に地域との新たな関係を構築、ビジネスの発展性を探っていきたい意向だ。