一般の中学や高校の就学期間がそうだし、企業の中期経営計画も、そのサイクルで立てられることが多い。「石の上にも三年」「桃栗三年柿八年」といった諺(ことわざ)にもあるように、我々の中では「3年」という時間軸を、ひとつの「区切り」と見る向きがあるようだ▲今月、マスクの着用を個人の判断に任せるお達しが出た。本欄で初めてマスクの話題に触れたのが3年前の3月だから、世間を賑わせた"マスク騒動"もちょうど3年で区切りを迎えることになる。単なる故事付けに過ぎないものの、やはり3年という時間に因縁めいたものを感じる▲マスクを求めて早朝からドラッグストアの行列に並んだけれど、結局買えずに帰った顛末を当時のコラムに綴っている。感染の急拡大に怖さを示しつつも早期の収束への期待も覗かせており、いま読み返すと見当外れな文章に恥ずかしくなる。まさか3年も続くとは想像すらできなかった▲「禍も三年経てば用に立つ」という諺があると知った。いま災難に遭っていても、3年も経てばその経験が役に立つから将来を信じて辛抱すべきという意味らしい▲その体で言うと、コロナ禍に喘いだこの3年の苦労や努力が役に立つ時期に入ったとも取れる。人も企業も3年の辛抱が明け、気持ちを新たにする年度替わりである(K)