この春、文化庁が移転した京都は芸術の街として知られる。芸術系の大学が多く、現代アートや漫画・アニメなどのサブカルチャーに携わる人が多いことでも国内外から注目されているという▲その京都に今秋、新たな芸術の拠点が誕生する。百貨店の髙島屋が、京都店の隣に増床する「T8」という商業施設だ。現代アートや日本が世界に誇るサブカルチャー、エンターテインメントなどの企業や専門店が集結。「アート&カルチャー」の拠点として、文化的な消費を刺激していく▲驚くのは、それら51店舗の錚々たる顔ぶれの中に、塗料店が入っていることだ。この欄でもお馴染みの塗料販売店・タカラ塗料(大阪市、大野一馬社長)が、今秋オープンの「T8」に出店するニュースが飛び込んできた。塗料販売店が百貨店に常設で出店するのは国内初だ▲髙島屋から出店要請があったという。「刷毛とローラーで車を全塗装」する"カルチャー"を生んだ同社の商売が髙島屋の目に「おもしろい」と映り、出店をオファー。話を進めるうちに、塗料自体の奥深い世界に百貨店側が魅せられ、「結局、DIYから業務用まで、本社と同じ商売を百貨店の中ですることになった」と大野社長▲消費者のドンとも言える百貨店が見出した塗料の魅力とは。その売場から同社が解き明かしていく(K)