土日をからめて2~3泊で出かけるプチ海外旅行を「週末バックパッカーの旅」と気取っている。LCC(格安航空)と安宿を利用して主にアジア方面に出かけ、異国の街をほっつき歩くだけの貧乏旅行。「いい歳をして、みっともない」との声が聞こえなくもないが、好きだからやめられない。なんなら、「じじいのバックパッカー」で売り出そうかと目論んでいるくらいである▲その週末バックパッカーの旅に出かけてきた。コロナ禍を挟んで4年ぶりの海外。自分にとって「祝コロナ明け」のイベントだったが、出発前の期待ほどには盛り上がらなかった。"低予算"というバックパッカーの掟が危うくなっていたからである▲コロナ禍の間に進んだ世界的なインフレと円安。以前なら、その安さに顔がほころんだアジアの屋台メシも日本の飲食店とさして変わらない値段になっている。普段ワンコインランチで済ませている身からすれば、むしろ高く感じるくらいの彼我の変化に、「デフレを独走してきた日本」を実感させられた▲あれ?そもそも貧乏旅行に喜びを見出す心理こそデフレマインドではないかと、その矛盾に今気づいた。安さ=正義の価値観に縛られてきたこの30年間。特にコロナ禍で冬眠していた間に世界は大きく変わっている。じじいのバックパッカー焦る(K)