「さばくいこう(砂漠へ行こう)」とは、証券業界の合言葉だそうだ。バブル絶頂期の1989年の暮れにつけた日経平均株価の最高値3万8,915円を語呂合わせでそう記憶しているという。その最高値が34年ぶりに更新されたと、先週のニュースを賑わせていた▲そう言えば、バブルの頃にも見たことがある光景だなぁと眺めていたのがテレビのニュース映像だ。証券会社のオフィスの中が映り、くす玉を割って記録更新を喜んでいるシーン。34年経っても騒ぎ方はあまり変わらないなと、少し冷めた目で眺めていた▲物価高に所得が追いつかず、実質賃金の低下が続いている中で迎えた株価の記録更新。多くの人が無関心だったように見えたのは、自分たちの生活実態と株価の動向がつながらないためだろう。まぁ、バブル期のように浮かれた気分でない分、弾けることもないだろうから良いけれど▲それにしても34年である。今年は全般的に景気回復を占う声が多いものの、それを引っ張る個人消費が上向くかどうか。30年以上も染みついたデフレマインドは相当ガンコで手強そうだ▲業界的に見れば塗料や塗装の需要も最終的には個人消費の動向に左右される。30数年前に"砂漠に行って"カラカラに乾いた心を癒し消費マインドを刺激するアプローチ、業界的にも探らなければ(K)