先日、「雷都(ライト)イエロー」と呼ばれる、鮮やかな色の電車に乗ってきた。栃木県の「芳賀・宇都宮ライトレール」である。近くに取材に行った際、足を延ばし乗ってみた▲国内で75年ぶりの新設の路面電車として昨年8月に開業。利用者数も売上も当初の目標を大きく上回り、まさに"軌道"に乗っている。人口減少社会の街づくりを見据え、お年寄りから小さな子供まで利用しやすいモビリティとして設計。仕事や学校、病院や買い物など多くの人が利用する市民の足として定着した▲さて、車体色の「雷都イエロー」である。この地方は昔から雷が多く、雨を降らせて稲穂を育て、恵みをもたらす雷のことを「雷様(らいさま)」と呼び、親しんできた。その雷様の色を車体のシンボルカラーにした▲デザイナーからの要求は、「目の覚めるような鮮やかな黄色で、きらきら光るメタリックカラー」と、雷を彷彿させる稲妻のような色合い。開発を託されたのは関西ペイントのカラーデザイナー・湯澤幸代さんだ▲目の覚めるような鮮やかな色と、メタリックのアルミ顔料で彩度が落ちる対立課題を「疑似メタリック」という新たな創色技術で克服、稲妻のような色を生み出した。市民に親しまれている「雷都イエロー」の電車。街を元気づける力が、塗料にはある(K)