「バイタク」をご存知だろうか。バイクタクシーを略してバイタク。バイクの後ろにまたがって目的地まで運んでもらう、東南アジアの国々の主要な交通手段である。タクシーより安く、渋滞もすり抜けて早く移動できるバイタク。学校に、職場に、買い物にと庶民の足として根付いている▲先日、そのバイタクに初めて乗った。場所はベトナムのホーチミン市。今年は正月休みが長いこともあり、当地への旅行を計画、その道中のことである▲バイタクはおろか、60余年の人生の中でバイクの後ろに乗るのも初めて。しかも交通ガチャなホーチミンである。死ぬかと思った▲街なかにはバイクと車があふれ、信号もほとんどなく、前後左右斜めと無秩序にバイクや車や歩行者が行き交うカオスな路上。「うわー、ぶつかる!」と何度も思いながらドライバーにしがみついていた20分間は、これまでに乗ったどんなアトラクションより恐怖に満ちていた▲でも不思議である。バイタクから降りた後の爽快感や達成感。カオスな街中を駆け抜けた光景は、きっといつまでも映像として記憶に残るし、小さな冒険をやり遂げた達成感も味わった。この歳にしてというか、この歳だからこそ得られる感慨だろう▲さて、今年はどんな仕事に挑戦しようか。まだまだ冒険しなくっちゃ(K)