「女性だからと、変に気をつかってほしくない」。現場で重いものを運ぶときや、少し危ない作業になりそうなとき、すぐに男性が手伝ってくれようとする。優しさからだと分かってはいるけど、そうされることで却って劣等感を感じてしまう▲冒頭の言葉にはそんな気持ちが隠されているのだろう。先日、横浜市で開かれた日本塗装工業会の「けんせつ女子ビューティーセミナー」の取材時に、そこで聞いた女性の塗装職人の言葉が耳に残った▲たぶん、建設業で働く女性の職人に共通した思いだろう。男性優位と分かっている職場(現場仕事)に敢えて飛び込んだのだ。性別で区別されることなく、実力本位で認められたい。そのガッツにどう応えていくか、男性社会の色濃い建設業界で、模索が続く▲日本塗装工業会の「けんせつ女子ビューティーセミナー」は、建設業で働く女性の活躍支援を目的に2021年から開いているイベント。3月1日に茨城の水戸で10回目を開催し、全国10ブロックを一巡した▲地域の塗装会社の女性従業員などが集い、互いにモチベーションを高め合えるプログラムをセミナーで進行、参加者の表情は一様に明るい。男女の区別なく、それぞれの職域でフランクに仕事力を競い合っているとき、内外から見た塗装業界の景色も変わっているはず(K)