もう30年ほど前になるだろうか。俳優の高橋英樹さんや柔道金メダリストの田村亮子さん(当時)らを起用したテレビCMがバンバンお茶の間に流れていたのは。当時、破竹の勢いで業績を伸ばしていた塗装リフォーム会社・ペイントハウスのテレビCMである▲「外壁を触って、手のひらに白い粉が付いたら塗り替えのサイン」などと喧伝したテレビCMを大量に流し、「自宅の外壁は塗り替えなければならないもの」との意識を消費者に摺りこんだ。訪問販売による強引な営業は疑問視されたものの、住宅の塗り替え市場を顕在化させた立役者でもあった▲以来、住宅の塗り替え需要は、建築塗料・塗装市場のボリュームゾーンにまで成長、製販装の多くの企業がその恩恵に預かった。それだけに、需要に急ブレーキがかかった最近の動きが気になる▲物価高による消費マインドの委縮、施主層の世代交代の影響、外壁材の高性能化など諸説の要因が飛び交う中、実は、「30年周期説」にハマったのではないかと嫌な予感がちらついている▲30年を1つの周期として破壊と繁栄を交互に繰り返す30年周期説。歴史や経済、企業の寿命などこのサイクルで回ることが多いという。住宅の塗り替え市場が賑わって30年。単なる杞憂に過ぎないと願いつつ、さあ春の需要期が始まる(K)