ファン チョン ルアンさん(35)は、ベトナムから技能実習生として来日し、特定技能1号に移行した塗装職人。日本語も分からず、経験ゼロからスタートし、苦労して仕事を覚えた。入社して8年。今では頼れるリーダー格だ▲同僚のレー ホアン ヴーさん(26)もベトナム出身の特定技能外国人。「日本の塗装業界は先進的で創造的で学ぶべきことがたくさん。上手くなるためにもコミュニケーション能力を磨き、先輩たちの技を吸収したい」とモチベーションは高い▲先日訪ねた建築塗装業の建翔(千葉県、宮澤信彦社長)では、社員数22名のうち特定技能外国人が10名を占める。働き手としてはもちろん、「彼らがいることで日本の社員にも指導力や包容力が備わり、会社に良い回転が生まれる」(宮澤社長)と、なくてはならない貴重な戦力だ。それだけに、特定技能2号へのハードルが重くのしかかる▲人手不足解消へ向け、外国人の就労を解禁した「特定技能制度」だが、在留期間5年の特定技能1号から、在留期間に上限のない特定技能2号への移行の難しさが指摘されている。「日本人でも受かるのが難しい」と言われる試験や要件が、日本で長く働きたい外国人を阻む▲ようやく育った外国人財を、むざむざと送り返す矛盾。働き手不足は待ったなしのはずなのに(K)