浮世絵師の葛飾北斎が「富嶽三十六景神奈川沖浪裏」の絵を描いた湘南の海。その絵を彷彿させる迫力ある大波の壁画が、同じ湘南の建物の壁に出現した。世界的に活躍する画家のミヤザキケンスケさんによる「湘南デンタルケアークリニック壁画プロジェクト」の作品だ。3月24日に完成披露会が行われ、地域を象徴する壁画の完成を多くの人が喜んだ。

ミヤザキケンスケさんの壁画が描かれたのは、神奈川県二宮町の湘南デンタルケアークリニックの壁面。同院の開院25周年を記念したプロジェクトで、約1カ月間をかけて描き上げた。また完成間近の段階では、地域の人たちもワークショップ形式で壁画の制作に参加。地域を象徴する作品を一緒に作り上げ、盛り上がった。

ミヤザキケンスケさんは、壁画とライブペインターとして世界的に活躍しているアーティスト。"Super Happy"をテーマに、見た瞬間に幸せになれる作品制作を続けており、ケニアのスラム街、ウクライナのマウリポリ、エクアドルの女性刑務所、ハイチでの国境なき医師団との共同制作など現地の人たちと一緒に壁画を残す活動を世界で続けている。圧倒的な色彩とひと目見ただけでハッピーな気分になれる作風が持ち味だ。

今回は、自身が影響を受けたのが葛飾北斎であったことに加え、湘南デンタルケアークリニックの重原聡院長が北斎の絵を世界に広めた林中正の子孫であったことも重なり、富嶽三十六景の大波の絵にインスパイアされた作品となった。同院の壁面いっぱいに迫力のある壁画が描かれ、湘南エリアの新しい名所として親しまれそうだ。

なお、ミヤザキケンスケさんの壁画制作では関西ペイントが塗料を提供することが多く、今回のプロジェクトでも同社提供による塗料が使用された。