同社はブラザー工業100%出資の輸出加工企業で、2013年4月に設立し2014年5月から稼働をスタートさせている。

従業員数は264名(男性129名/女性135名、平均年齢28歳、日本人6名)。資本金はUSD41million。工場敷地面積は2万5,000㎡。

事業内容は工業用ミシン及び部品の製造、販売、設置、修理、技術指導を行う。現在、ブラザーグループの中国・西安工場からの生産移管を受けて生産量が上がっている。販売先は中国以外のアジアで一部欧州地域にも輸出販売している。

製造工程は部品受入検査→部品入出庫管理→加工→塗装→ロゴのシルク印刷・洗浄→製品組立→検査→出荷という流れ。

その中の部品入出庫管理が特徴的で、同社ではフリーロケーションシステムを導入している。このシステムは、部品箱にQRコードを付けて天井のカメラでそれを読み取って部品の所在をシステムに自動登録することで、空きスペースのどこでも自由に部品を置くことができる。部品を調達するときは作業者がタブレットをかざすことで自動的に調達最短ルートが表示される。その最短ルートは先入れ先出しが考慮されている。

従来は決められた場所に部品を保管していたため、部品在庫が減り空きスペースができてもそこに他の部品を保管することができず効率が悪かったが、同システムを導入したことで大幅に作業効率が高まったという。

塗装設備は独立した3つの塗装ラインと前処理兼空焼きのための1ラインの計4ラインが並んでいる。素材が鋳物のため中の空気を出すために塗装前に空焼きを行っている。

塗装ラインは溶剤系下塗りと溶剤系中塗りに上塗りとして粉体塗装を施す3コート3ベーク仕様のライン構成。中塗りを加えることで、気泡及び錆浮き対策機能を持たせている。

生産能力はひと月に1万3,000台。塗装はロボットで行っており、塗装ガンは旭サナック製を採用する。ラインスピードは1.0m/minで、焼付乾燥温度は220℃×20分の設定。

使用する粉体塗料は白色のみ。塗料は下塗りと中塗りは日本ペイント、上塗りはタイガードライラックをそれぞれ現地から調達している。膜厚は120~240μmを確保し、塗膜の要求品質は耐衝撃性、耐剥離性、また、布が滑りやすくなるために表面は凹凸模様となっている。