同社は日本ゼオングループ100%出資会社で、ゼオングループの加工事業のASEAN地区の拠点として事業を展開している。

工場の敷地面積は9万3,600㎡で、従業員数は308名(日本人4名)。生産品目は合成ゴム用スチール製コンテナ。加えて粉体塗料も生産しており、グループ会社であるトウペの技術により自社使用分とトウペのOEM生産を行っている。 

なお、関税免除などの優遇を受ける輸出加工企業として登録しているため、ベトナム国内での販売はしていない。

コンテナ製造工程はコイル平板からパイプ加工、溶接、塗装という流れ。現在、ひと月に1万1,000台を日本に出荷している。工場は2直制(6:00~14:00、14:00~22:00)で稼働させている。

塗装設備は前処理及び水切り乾燥設備、塗装ブース、乾燥炉であり、各ラインはそれぞれ分離されている。その理由は「ワークが重量で搬送チェーンが劣化しやすいことと、各処理にあったワーク角度に変更することで生産効率を高めるため」(佃正人社長)という。

ワークの着荷は2名で行う。前処理はタクト式14工程(待機を含む)で進めており、主な作業工程は脱脂3回→水洗2回→表面調整→リン酸亜鉛皮膜処理→水洗3回→セッティング→その後に水切り乾燥を行う。塗装工程には2名でワークを掛け替える。

塗装はオーバーヘッドコンベア式でそのラインスピードは速い(5.0m/min以上とみられる)。塗装ブースには、固定式1レシプロ9ガンを対面に配置(合計18ガン)、それに補正として作業者1名がハンドガンで塗装する。「実質的には自動ガンのみで十分塗れている」(佃氏)ものの、念を押す意味合いから補正を入れている。

入り組んだワーク形状のため、奥部まで粉体塗料を吹き付ける必要があり、それを考慮しトリボガンを使用している。粉体塗装機はワグナー製を採用。その後に熱風式焼付乾燥を行っている。

使用する粉体塗料は白色のみで塗料は回収再利用している。膜厚は40μm以上と設定されている。粉体塗料は同じ敷地内にある粉体塗料製造工場で製造しており、同工場ではHAAタイプのポリエステル樹脂系を使用する。なお、原材料はアジア地域から調達している。年間の使用量は約250トン。

以前はローカル粉体塗料メーカーから購入していたが、自社で使用する分を自社工場で製造することで効率化を図った。