2019年度(2019年4月~2020年3月)の塗料出荷(販売)は、数量ベースで対前年比4.1%減の170万213トン、金額ベースで3.1%減の6,776億1,000万円となった。在庫量は、1.7%増の10万3,935トン、平均単価は1.1%増の399円。数量は昨年に続き2年連続、金額は2015年度以来4年ぶりのマイナスとなった。

しかし、9月に勃発した米中貿易摩擦及び10月の消費税増税が塗料需要を直撃。外需、内需ともに10月以降失速、新型コロナウイルスの感染拡大が追い討ちをかけた。

ただ、下半期以降の失速が塗料需要全体に影響したとの印象を強くするが、塗料出荷数量の月別推移を見ると、月別合計で対前年を上回ったのは4月と9月のみ。

建築汎用塗料の指標となるエマルションペイントが復興需要や消費税増税前の駆け込みの影響を受け、9月まで前年比プラスで好調に推移した他は、ほぼ前年並みで推移。中でも主要品目の1つであるウレタン樹脂系が4月、9月を除いて前年を上回ることがなく、需要を下押しする結果となった。

結果的には、海外情勢、消費税増税、コロナ禍などの特殊要因があったものの、塗料需要全体は低調のまま推移したことが分かる。

品目別では、厚膜型エマルション(101.6%)、船底塗料(100.4%)の2品目が伸びた他は、すべてマイナス。ラッカー(84.9%)、不飽和ポリエステル(91.5%)、アルキド調合(91.9%)の減少が目立った。 

一方、金額ベースで4月から9月までの6カ月で前年を下回ったのは、6月と8月のみと数量とは動きを異にする。4月以降の累計では、9月まで0.9%増と前年比プラスを維持し、値上げや製品投入による付加価値化を強めていることが分かる。

しかし、10月からは一気に反転。月別では、10月7.3%減、11月10.8%減、12月6.5%減、1月4.9%減、2月6.5%減、3月4.7%減と推移した。

品目別で伸長したのは、トラフィックペイント(105.0%)、船底塗料(102.3%)、厚膜型エマルション(102.1%)の3品目。ラッカー(85.2%)、不飽和ポリエステル(90.5%)、アクリル常温(93.1%)の減少が目立った。

一方、品目別単価は、20品目中15品目が上昇した。

上昇が目立ったのは、トラフィックペイント(107.0%)、アルキド調合(105.4%)、その他溶剤系(104.3%)、電気絶縁塗料(103.9%)、水性樹脂系(103.8%)など。一方、アクリル常温(98.7%)、不飽和ポリエステル(99.0%)、シンナー(99.4%)、エポキシ樹脂系(99.5%)、アルキドさび止め(99.9%)がダウンした。

2020年度は、コロナ禍の影響により更に需要が下回る見込み。特に自動車、工業用においては、需要低迷長期化に危機感を高めている。

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