平成29年3月期大手5社中間決算
円高、原料安で減収増益構造

塗料メーカー大手5社の平成29年3月第2四半期(中間)の業績が出揃った。期初から続いている円高傾向の影響を受け、エスケー化研を除く4社は前年同期比で売上がダウン。一方、原材料価格の下落によって利益率は改善しているのが全体的な構図。国内市場は、熊本地震などの影響で減少した自動車生産台数の下期の挽回が見込まれるのに対して、建築、防食、自動車補修など汎用塗料市場は低迷が続いている。高付加価値品へのシフトとシェアアップが汎用塗料市場の基本路線だ。

 


日本ペイントホールディングスは売上高2,544億4,000万円(3.4%減)、営業利益379億5,900万円(18.4%増)、経常利益356億1,100万円(5.7%増)、四半期純利益166億700万円(25.1%増)であった。為替変動の影響により連結売上高は減収となったが、コスト管理や原価低減活動により円高の影響を吸収、利益はいずれも増益となった。


売上の過半を占める中国事業は「主力の内装用、自動車用ともに堅調に推移」(田堂哲志社長)とコメント。特に中国でトップシェアの内装用塗料は31%強にシェアを高めており、2位のアクゾノーベルに大きく水を開けている。「シェア40%を当面の目標に、あらゆる打ち手を行っていく」とし市場プレゼンスを一段と高める。


国内事業は、自動車用、工業用は前年同期を上回った。汎用塗料は前年並みだったものの、「埼玉の生産・物流インフラの本格稼働により、関東市場で攻める体制が整った。販売網の積極開拓も進めシェアアップを図る」方針。
今期より決算期を変更した平成28年度12月期の通期業績予想は売上高4,670億円。為替の影響や中国でのシェア拡大への販売インセンティブなどで期初予想から330億円下方修正した。

関西ペイントは売上高1,622億6,800万円(5.0%減)、営業利益178億4,800万円(6.6%増)、経常利益188億4,900万円(4.3%減)、当期純利益114億4,000万円(10.3%増)となった。「年初から続いている円高傾向により海外全般において為替換算の影響を大きく受け売上が減少する一方で、やはり年初からのナフサ価格の下落による原価低減により利益は増加する構造。営業利益、当期純利益は過去最高益を更新した」と石野博社長は今期の流れを説明。

国内は新車分野で熊本地震による自動車の減産の他、市況の低迷を受け工業用、船舶、防食分野で前年同期を下回った。建築分野は前年並みを維持、自動車補修分野は高付加価値製品の拡販により売上は前年を上回った。国内セグメントの売上高は738億4,600万円(3.3%減)。

海外ではインドが自動車用、建築用ともに好調を維持し売上高は2.5%増の373億1,300万円を計上したものの、アジア、アフリカなどを含む海外全般では市況の低迷と為替の影響により前年同期比6.4%減で推移した。

ただ「為替要因を除く実態の部分では事業は好調に推移しており、国内の自動車生産も下期は増産計画にある」とし、通気業績予想は年初予想の売上高3,400億円(3.6%増)に据え置く。

エスケー化研は売上高447億7,900万円(前年同)、営業利益60億4,600万円(11.0%増)、経常利益39億4,500万円(24.5%減)、当期純利益27億6,600万円(20.7%減)と売上高は前年並みに推移した。

主力の建築仕上塗材事業はリニューーアル市場において高付加価値品の販売に注力、新築需要の減少をカバーした。売上高は410億1,700万円(0.8%減)と微減だったものの、セグメント利益は5.8%増の66億8,300万円を計上した。
通期業績予想は売上高1,000億円(8.0%増)で変更なし。

中国塗料は売上高420億3,900万円(29.4%減)、営業利益28億4,200万円(43.5%減)、経常利益28億1,300万円(49.6%減)、四半期純利益14億8,900万円(57.3%減)と減収減益となった。

前年度好調であった船舶修繕需要の反動減に加えて、造船大国の中国、韓国が調整局面を迎えたことから主力の船舶分野が市場縮小に見舞われた。また世界的な景気鈍化傾向に伴い、工業分野も海外を中心に需要が伸び悩み、コンテナ分野も第1四半期に市況が落ち込んだ。

地域別売上高は日本176億2,000万円(9.7%減)、中国85億8,400万円(50.4%減)、韓国55億2,200万円(34.3%減)、東南アジア49億7,300万円(22.1%減)、欧州・米国53億3,800万円(32.9%減)。
通期業績予想は売上高900億円(21.8%減)で変更なし。

大日本塗料は売上高358億8,000万円(5.1%減)、営業利益29億6,400万円(9.6%増)、経常利益29億2,000万円(10.7%増)、四半期純利益18億8,400万円(26.1%増)となった。

国内塗料事業は新設住宅着工戸数の回復により建材向け塗料が好調だったものの、構造物、一般工業用分野の市況が低迷。売上高は前年同期比4.5%減の265億200万円。一方、高付加価値品シフトによる製品ミックスが奏効し、セグメント利益は5.2%増の17億3,000万円となった。

通期の業績予想は国内市況の低迷、海外事業の為替換算の影響により、売上高は期初予想(780億円)を下回る745億円に下方修正。一方、製品ミックスや原料コスト低減により利益はそれぞれ上方修正し、「中計目標の経常利益60億円必達は視野に入った」(岩淺壽二郎社長)とコメント。



HOMENew Trend平成29年3月期大手5社中間決算

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