青森県八戸市の中ペン塗装店(社長・中村昭則氏)が県産業技術センターと共同開発した磁着性塗料及び磁着性塗料混合物がこのほど特許を取得した。いわゆる磁石がくっつく塗料及びその組成物に特許が成立、市場認知の向上が期待される。30年に及ぶ開発努力が実った。

今回成立した特許の発明の名称は「磁着性塗料用混合物および磁着性塗料」で、乾燥後の塗膜に磁石がくっつく機能性塗料とその機能を発現するための混合物、具体的には水性塗料に混合しても錆びない鉄分に対して特許が認められた。

中村氏が同塗料の開発に乗り出したのは30年ほど前のこと。「塗料に、誰にでも分かりやすい機能を与えることで塗料と塗装の価値を高めたい」との思いに駆られたものだった。課題は磁着性塗料(水性)の要である"鉄粉"の錆びをいかに防ぐか。鉄粉の加工、バインダーの探索、配合比率や分散などさまざまな角度から工夫を重ねた。途中からは県の産業技術センターも協力に乗り出し開発が加速、"錆びない鉄粉"による磁着性塗料「マグピタットウォール」として商品化に成功した。

同品を塗った壁には磁石がくっつく。このためこれまで画鋲などを使っていた壁の掲示を磁石に置き換えることができ、幼稚園や学校、病院、庁舎などから「安全性が高まり、掲示のやり変えも楽」と人気を呼んだ。

最近ではDIYブームを背景にマグネットがくっつく塗料への人気も高まっており、国産、海外産を含めて売れ行きがいい。このカテゴリーの塗料として今回初めて特許を取得したことで「社会的な信頼、認知も進み更なる普及へのステップになるのでは」(中村氏)と期待を寄せる。