関西ペイントは11月13日、2025年4月からスタートする第18次中期経営計画(~2027年度)を発表した。財務目標を売上高7,000億円、EBITDAマージン17%、調整後ROE15%に設定。重点方針として①構造改革による収益性と効率性の強化②事業を伸ばす製品開発とDXの推進③人材育成と最適配置の両立④最適資本構成に基づく積極的な投資と還元を掲げた。
"新たな成長軌道を作る"をキーコンセプトにした現第17次中計(2022~2024年度)は、売上高6,100億円(目標5,500億円)、EBITDA890億円(850億円)、調整後ROE13%(13%)と目標値をそれぞれ達成する見通し。地域ポートフォリオで欧州事業が大きく成長し、日本、インド、欧州の3本柱を確立。事業別売上構成においても自動車の売上比率拡大により自動車(29%)、工業(29%)、汎用(33%)のバランスの改善を図った。
期間中、収益性が追いつかず、マージン目標から利益額目標に変更にした点や事業魅力度が市場に伝わっていない点を課題に残しつつ、外部環境が激動する中での史上最高業績の更新及び財務構造改革の進展、グローバル人財の登用などの諸施策に評価を示した。
その上で次期経営方針に示したのは、2030年をターゲットとするありたい姿"塗料で人を幸せにする"をビジョンとした企業価値の向上。第18次中計は、ビジョン実現のためのバックキャストとして事業とエンゲージメントの強化に注力する方針だ。
新中計では、先述の財務目標に加え、GHG20%削減、再エネ使用率15%、エネルギー消費量10%削減、サステナビリティ製品売上比率20%、サステナビリティ関連開発テーマ60%、災害度数率(ILO準拠)1.7、社会貢献-CFP活動数500以上などの非財務目標も設定。「現中計までよりも更に深い階層での変革が必要になる」と人材育成、事業強化、組織改編、明確な役割と責任を変革テーマに据える。
特に人材育成については、2028年度以降に着手を目指すグローバル人事の本格運用、実力主義による最適配置を念頭に、国内は全管理職の再配置とタレントマネジメントシステムグループ展開、グローバル人事制度の開発に着手。グローバルでは、若手・中堅層の多国間人事異動を開始する他、他機能軸人材の人事交流を活発化させる。
また事業強化について国内は、サプライチェーンの刷新とERP導入を主軸としたBPRの実行、BPOによる抜本的な効率化を図る方針。2023年度実績の売上高1,653億円、EBITDAマージン15.6%に対し、2027年は売上高1,800億円、EBITDAマージン18.3%に引き上げる。
自動車生産台数の横ばい・微減、新築住宅着工件数の低迷、塗り替え需要の微減を予測する中、①グループ組織再編②100名に及ぶDX人材の育成③サステナビリティ製品の開発・事業化④販売店数を拡大し、汎用塗料シェアアップ④自動車部品市場のシェアアップ⑤オンラインチャンネルの本格展開(関西ペイントブラーノ)に注力する。
その他、インド、欧州は、工業用分野の成長性・収益性強化、アフリカはOneアフリカの推進に向け、サプライチェーンの最適化に取り組む構えだ。
「塗料で人を幸せにする」2030年ビジョンは、他地域展開から得意な地域で価値提供に集中する同社の経営スタンスを鮮明にしており、顧客、社員、株主、サプライヤーなどのステークホルダーとのエンゲージメントを重視したものとなっている。