道路施設情報を集約、7月から有料データも公開

国土交通省が進める道路システムのDX化が本格化してきた。国交省は道路施設の維持管理の効率化を目指して「全国道路施設点検データベース」の整備を進めており、5月に橋梁やトンネルなどの基礎データを無料で公開した。続いて7月12日には点検結果や損傷の有無、補強履歴といった詳細データについて有料で公開を開始した。道路管理者ごとに蓄積されていたデータを一元管理することで、外部からの技術開発の促進や維持管理の効率化を目指している。


近年、国内では道路橋やトンネルといった社会インフラのメンテナンスが重要視されており、国としては予防保全による老朽化対策を推し進めている。その中で効率的に施策を進めるためには道路システムのDX化が必要として積極的に取り組んでいる。

現在、国土交通省道路局はデジタル道路地図を基盤としてさまざまなデータを紐づける道路データプラットフォーム「xROAD(クロスロード)」の構築に取り組む。

対象となる道路施設は、全国の約72万の道路橋、約1.1万のトンネル、約1.2万の横断歩道橋、約1.7万の門型標識の他、舗装、土工となっている。

構造物のデータと交通量などのリアルタイムデータを紐づけることで、施策検討や現場管理作業に活用。例えば、パトロール車両に搭載したカメラからのリアルタイム映像をAIにより処理し、舗装の損傷を自動検知することも可能となる。

更に一部データを民間に開放することでオープンイノベーションの促進を図る。メンテナンス作業における担い手不足や技術不足は年々深刻さを増しており、「高品質な道路管理アプリケーションは積極的に採用」(国交省)として民間開発力に期待を寄せる。

社会インフラの老朽化対策が待ったなしの状況下、xROADを実現することで、デジタル技術や新技術の導入による道路管理や行政手続きの省力化及び効率化を加速させる。

点検詳細データを公開

今般、国交省は全国道路施設点検データベースの公開を積極化させている。

全国道路施設点検データベースは、xROADを支える情報基盤のうち、道路施設情報の管理を担うもの。道路橋やトンネル、舗装など道路施設の位置や完成年度、管理者、点検判定区分といったデータが一元的に集約されている。

5月から「全国道路施設点検データベース~ 損傷マップ ~」において橋梁、トンネルなどの基礎的なデータ(諸元、点検結果など)を無料で公開していたが、7月からはより詳細なデータの有料公開を開始した(利用登録https://road-structures-db.mlit.go.jp/)。

そこでは点検結果や補修結果の詳細といった、道路施設の詳細な点検データが確認できる。

国交省としては、一元管理されたデータを道路管理者が現場管理や具体的な施策検討に活用することで社会インフラの維持管理の高度化並びに効率化を図る。

同時に詳細データをオープンにすることで、研究機関や民間企業がそれらデータを分析や加工などさまざまな用途で活用できる。結果としてオープンイノベーションの促進につながるとの狙いだ。

社会インフラのメンテナンスには、点検→診断→措置→記録の作業を効率的に回していくことが重要となっている。一定水準を超えて劣化や老朽化している施設には早期の措置をしなければならない。

そのためにもデータの有効活用が必須であり、国交省はxROADの整備を推し進める。今回の全国道路施設点検データベースのオープン化によって、効率的な維持管理の流れを一層加速させることが期待される。



全国道路施設点検データベース
全国道路施設点検データベース

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