特殊化学品メーカーのランクセスは東京都千代田区の新丸ビルで11月29日、記者説明会を開催した。昨年同社日本法人代表取締役社長に就任したジャック・ペレズ氏(=写真)が2022年の事業活動や今後の見通し、持続可能性について説明した。

ペレズ氏は始めに同社が行ってきた事業ポートフォリオの変革について言及。「収益性が高い事業を買収により獲得する一方で、収益性が悪く競争の激しい分野の事業を売却し、利益を確保できる体制を整えた。今年はアドベントとの合弁会社の設立発表など、今後も更に高い成長を目指す」と成長戦略について説明した。現在はアドバンスド中間体、スペシャリティーアディティブズ、コンシューマープロテクションの3つの部門で事業を行っている。

2022年1~9月期事業報告では、売上高は前年同期比38%増の61億1,500万ユーロ、EBITDAは17%増の7億5,500万ユーロとなっている。物流、エネルギーコスト高騰による値上げや企業買収が業績に寄与し、すべての部門で売上が増加した。

通期のEBITDAは9~9億5,000万ユーロ(前年8億5,000万ユーロ)を見込む。「原材料やエネルギーコストの更なる高騰は懸念されるが、それに備え18億ユーロの未使用投資枠や生産、コスト管理など十分対応できる体制」(ペレズ氏)と自信を見せた。

また、持続可能性への取組みについても紹介した。同社では2040年までにCO2排出量ゼロを掲げており、2018年のCO2排出量は2004年と比べ50%に削減、2025年には60%の削減を見込んでいる。「ESG評価機関からも高い評価を得ている」と説明。

今年は「ネット・ゼロ・バリュー・チェーン」プログラムと題し、グリーン物流への移行や低炭素循環型イオン交換樹脂「Scopeblue」の発売などに注力していく。