業界初、製販装オンライン発注システムを開発

日本ペイントは10月、塗料販売店、塗装会社と連携した塗料受発注システム「GOOD JOBシステム」をリリースした。同社製品を取り扱う塗料販売店が顧客ユーザーに取引を行うために必要な購入先申請コードを提供し、顧客ユーザーはパソコンやスマホ、タブレットから同社製品を自由な時間に発注できる。同社とEDI連携する販売店は、受注・発注業務の一元化が可能となり、製販装の受発注業務をする共通システムとして普及拡大を目指す。


10月3日、日本ペイントは、キャンペーンなどコミニケーションブランドとして展開する「GOOD JOB(グッドジョブ)」の名称をあしらったオンライン発注システム「GOOD JOBシステム」の投入を発表した。

同システムは、塗料販売店から日本ペイント製品を購入する塗装ユーザーに対し、オンライン発注を可能にしたもの。ユーザーは塗装店、施工店、自動車板金塗装工場などを想定しており、ユーザーは時間や場所を問わず、塗料を発注することができる。

ユーザーが使用するためには、日本ペイントのEDIシステムを導入する塗料販売店が発行する購入先申請コードが必要。利用登録を終えたユーザーは専用WEBサイトを通じて塗料の発注ができる他、注文履歴や納期を確認することができる。

一方、受注側の塗料販売店は、オンラインデータで受注情報を受けられることから、聞き間違いや書き間違いなどの人的ミスを減らすことができる。また受注情報からクリック1つで発注画面に切り替えることが可能で「転記作業が不要になり、受発注業務を軽減する」(同社)と説明。同社は無料でサービスを提供する。

普及の鍵を握るのは、ユーザーの利便性。ユーザーは、まず購入販売店を選択し、検索メニューから購入製品を選び、数量を指定。文字情報だけでは誤発注の可能性もあるとして、塗料缶の画像を表示し、視認性を高めるとともに、製品ごとのリンクから製品情報やカタログ確認が可能。数量が不明な場合は、製品ごとの標準塗料使用量や1缶当たりの塗装面積情報を確認できる。調色品は、日塗工標準色やNDカラーなど複数の色見本データから選択することができる。

その他、購入頻度の高い製品は、ワンクリックで選択できる「お気に入り機能」を搭載。カート内の購入製品を確認した後、納入先(会社、現場、倉庫、元請け先など)、納入希望日を指定し、発注。販売店への引き取り指定にも対応し、現状の商慣習に準じた。

一方、販売店側は、受注情報を確認した後、在庫、自社調色が可能な場合は、ユーザーに納期を回答。メーカー取寄せ品や調色を依頼する場合は、同社EDIシステムと連動し、打ち直しすることなくメーカーに発注することができる。今後、営業社員による出先からの発注を想定し、販売店側にモバイル機能を拡充する予定だ。

同社としては、製販装の枠組みを堅持するオンライン発注システムとして普及拡大を目指す方針。機能拡充も進めていく意向で、メール受信やユーザー通知を可能にする機能を付加する他、新製品情報やイベント、キャンペーンなどの案内ができるよう情報発信ツールとして充実化していく考えだ。

導入に揺れる塗料販売店

「GOOD JOBシステム」の投入で関心を集めるのは、顧客にコードを提供する役割を担う塗料販売店の反応だ。

これに対し「詳細についてまだ確認していない。これから社内で検討を進めていく」との声とともに、「顧客情報が(日本ペイントに)取られるのではないか」「直売を見据えたものではないか」と慎重さと警戒感を示す意見が多く聞かれた。

市場の受発注データが日本ペイント側に集約されることを案じたものだが、同社は「販売店様、ユーザー様ともに個別のデータを取得し、活用することはない」と説明。あくまでも塗料受発注業務の効率化を目的にしたものであると強調する。

加えて、販売店が導入に慎重さを示す理由に実用性に対する懐疑的な見方がある。「日本ペイント製品のみだけでは、ユーザーの利便性がない」「社内の体制が整わず、本格導入には時間がかかる」「以前、別のシステムで顧客にEDIを提案したが、必要がないと断られ、導入を断念した」(販売店トップ)など。既に同社に先行して販売店向けのEDIサービスが登場しているが、電話受注も顧客とのコミュニケーションを担保している実態もあり、販売店によって導入に判断が分かれそうだ。

ただ、同一エリアで同システムの活用を始める販売店が出た際、他社も追随する可能性があり、派生的に普及が進む可能性がある。また現在、日本ペイント製品のみにとどめている登録製品を自社品以外に拡充するかどうかについても関心が集まるところ。業界に対するインパクトは大きく、今後の動向が注目される。



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