保護眼鏡、保護手袋着用が義務化
4月1日、改正労衛法政省令が施行

段階的に施行している令和4年改正の労働安全衛生法関係政省令を受け、4月1日からリスクアセスメント対象物質の拡充に加え、皮膚障害等防止用保護具の着用が義務化される。保護具着用は、これまで努力義務となっていたが、4月より皮膚接触・侵入、眼に障害を与え、健康障害を生ずるおそれのある化学物質を製造、または取り扱う業務に従事する労働者は、不浸透性保護具の使用が必要となる。塗料・塗装業界においても取り扱い労働者に対する周知徹底が求められる。

 


保護具の着用が義務化される皮膚刺激性有害物質は、GHS分類結果やSDS等に記載された有害性情報の内、「皮膚腐食性・刺激性」「眼に対する重篤な損傷性・眼刺激性」「呼吸器感作性または皮膚感作性」のいずれかで区分1に分類されているもの。該当する物質を取り扱う際は、対応策として不浸透性の保護衣、保護手袋、履物または保護眼鏡等の使用が義務となる。

不浸透性とは、有害物等と直接接触することがない性能を有することを指し、JIS T8116(化学防護手袋)で定義する「透過」しないこと及び「浸透」しないことのいずれの要素を含むものと規定している。また健康障害を起こすおそれがないことが明らかなもの以外の物質の製造、取扱い労働者においては、保護衣、保護手袋、履物または保護眼鏡の使用は努力義務となる。

ポイントとなるのは、これまで特別規則対象物質(特化則)を対象にしていた保護具着用義務化の対象化学物質が1,064物質加わった。内訳は、①皮膚刺激性有害物質744物質②皮膚吸収性有害物質196物質①と②を併せ持つ124物質の計1,064物質。対象物質は年1回更新され、今後も拡大される見込みとなっている。

GHS分類に加え、譲渡提供者から提供されたSDSなどに記載された有害性情報の内、「皮膚腐食性・刺激性」、「眼に対する重篤な損傷性・眼刺激性」、「呼吸器感作性または皮膚感作性」のいずれかで区分1に分類されているものも皮膚刺激性有害物質に含まれるため、注意が必要となる。

なお、有害性項目の内、「皮膚腐食性・刺激性」が区分2、「眼に対する重篤な損傷性・眼刺激性」が区分2A、「呼吸器感作性」が区分1Bの場合、保護手袋の着用が義務化。また、「眼に対する重篤な損傷性・刺激性」が区分1で、他の有害性項目は区分に該当しない、分類できない場合は、保護眼鏡等の着用が必須となる。

いずれも保護具の着用が義務化か否かについては、使用前に絵表示で分かりやすくしたGHSラベル及びSDSで確認することが必要となる。
また同政省令の施行により、保護具着用管理責任者の選任が義務化された。4月1日付で化学物質管理者の選任も義務化されるが、保護具着用管理責任者はリスクアセスメント対象物の製造から販売までを管理する化学物質管理者の指示を受け、呼吸用保護具、保護衣、保護手袋、保護眼鏡等の選択、管理とともに関係労働者に周知することが求められる。

期日は選任すべき事由が発生した日から14日以内。選任要件は通達にて明記しているが、要件を満たす場合も保護具着用管理責任者教育を受講することが望ましいとしている。選任届を労働基準監督署に提出する必要はない。



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