自動車、工業用と建築汎用で明暗分かれる
塗料上場4社平成29年3月期中間業績

大手塗料メーカー4社の平成30年度3月期第2四半期業績は、営業利益面で増収増益2社、増収減益1社、減収減益1社と斑模様の決算となった。国内は自動車生産台数の増加と工業用分野が牽引したものの建築分野は不振と明暗を分けた。海外はエリアごとに浮沈の差が見られ、3社が通期業績を修正した。各社とも構造改革に拍車をかける。


関西ペイントは売上高1,918億5,600万円(18.2%増)、営業利益198億7,100万円(11.3%増)、経常利益225億2,500万円(19.5%増)、四半期純利益126億200万円(10.2%増)を計上し、営業利益、経常利益、純利益ともに過去最高益を更新した。

国内は自動車生産台数が前年を上回り、新車用分野が牽引した他、工業分野、船舶分野、防食分野も伸長。一方、建築分野の売上は前年を下回った。その結果、売上高は773億4,100万円(4.7%増)、経常利益119億9,700万円(20.2%増)となった。

海外事業に関し、インドは売上高438億6,100万円(17.5%増)、経常利益72億6,200万円(22.9%増)。アジアは売上高306億9,500万円(8.4%増)、経常利益26億6,200万円(25.8%減)。アフリカは、売上高144億2,500万円(7.9%増)、経常損失22億7,000万円。欧州はPolisan Kansaiの半期分とKansai Heliosの四半期分が加わり、売上高227億7,100万円(158.5%増)、経常利益22億6,700万円(297.5%増)。北米を含むその他は、昨年8月に連結子会社化したU.S.Paintの半期分の売上、のれんの償却が加わり、売上高27億6,000万円(353.7%増)、経常利益6億600万円(6.4%増)を計上した。

石野博社長は「変革の方向性に対し、社内への浸透も深まってきた。今後はそれぞれの事業の底上げにスピード感を持って取り組んでいきたい」とコメント。為替リスク対策については「欧州においても原材料の現地調達を積極化していく」と世界6極に及ぶグローバル経営が新たなステージに入ったことを示唆した。

通期業績は、アフリカ事業におけるリカバリーの遅れとSAP導入による混乱が起因し、下方修正を実施した。

エスケー化研は売上高450億2,100万円(0.5%増)、営業利益54億9,800万円(9.1%減)、経常利益59億8,200万円(51.6%増)、四半期純利益41億700万円(48.4%増)の増収営業減益となった。

同業間での価格競争が激化する中、施工品質管理体制強化のための増員や待遇改善を行ったことが営業減益の要因。一方、経常利益は昨年同期に23億円計上した為替差損が2億8,000万円の為替差益に反転し増益要因となった。

事業別では、主力の建築仕上塗材事業は、新築需要が減少したものの、超耐久性塗料、超低汚染性機能を有する遮熱塗料などの拡販により、売上高410億9,500万円(0.2%増)、セグメント利益62億1,900万円(6.9%減)を計上。耐火断熱材事業は、首都圏での再開発事業での受注が拡大し、売上高30億700万円(8.6%増)、セグメント利益3億2,400万円(0.3%減)。

通期業績は、当初予想と変わらず。下期の巻き返しに意欲を見せた。

中国塗料は売上高398億5,500万円(5.2%減)、営業利益22億8,500万円(19.6%減)、経常利益24億6,500万円(12.4%減)、四半期純利益14億6,700万円(1.5%減)の減収減益となった。船舶修繕需要やコンテナ分野で市況回復が見られたものの、調整局面が続く新造船需要の後退、中国の工業用分野の低迷が下押しした。

国内は工業用塗料が善戦したものの、船舶用塗料が新造船向け、修繕向けともに低調に推移し、売上高173億2,500万円(1.7%減)、セグメント利益7億800万円(54.9%減)を計上。

中国は売上高76億2,300万円(11.2%減)、セグメント損失1億2,600万円。韓国は売上高31億5,200万円(42.9%減)、セグメント利益1億8,300万円(55.5%減)。東南アジアは売上高54億7,200万円(10.0%増)、セグメント利益8億700万円(4.7%増)。欧州・米国は売上高62億8,200万円(17.7%増)、セグメント損失3,400万円となった。

通期業績は新造船向けの需要低迷と原材料価格の上昇により、売上、利益ともに下方修正を行った。

大日本塗料は売上高365億8,700万円(2.0%増)、営業利益32億8,900万円(11.0%増)、経常利益31億1,900万円(6.8%増)、四半期純利益24億4,100万円(29.6%増)を計上し、営業利益、経常利益とも4年連続で過去最高を更新した。

国内塗料事業は、工業用分野が伸長し、売上高267億9,900万円(1.1%増)、営業利益18億2,200万円(9,200万円増)を計上。海外塗料事業も北中米市場の自動車生産台数の増加を背景に自動車部品向けが好調。東南アジア及び中国市場でも構造物分野の出荷が増加し、売上高38億4,500万円(7.7%増)、営業利益7億2,300万円(8,200万円増)と好業績。

岩淺壽二郎社長は「持続的に収益力を高める基盤づくりのため、更に高付加価値化に取り組んでいく」と説明。自己資本比率も50%を超え、今中計で目標とする売上高対営業利益率10%の達成に弾みをつけた。

通期業績は、工業用分野の生産増と生産拠点の集約化による効率化により、利益で上方修正を行った。

平成30年3月期中間業績



平成30年3月期中間業績
平成30年3月期中間業績

HOMENew Trend自動車、工業用と建築汎用で明暗分かれる

ページの先頭へもどる