菊水化学工業は、酸化チタンの光触媒作用で空気中の菌やウイルスを分解除去する空気殺菌装置の販売を開始する。剥き出しの酸化チタンを成膜する特許技術により極めて強いラジカル反応を生成、菌やウイルスの分解、除去性能が高い。新型コロナウイルスと類似性の高いウイルスで代用試験を実施、公的機関で性能を確認した。病院や介護施設、飲食店、スポーツジムなど新型コロナウイルスのクラスター対策を求めている層に向け、業務用空気殺菌装置として展開する。

装置の名称は「ラジカルバスターV1」。製造販売元の幸成商事(大阪市、石幸成和社長)と業務提携し、菊水化学が販売元として全国展開する。

殺菌や抗ウイルスのコア技術となるのが、微粒子アナターゼ型酸化チタンを剥き出しで露出させながら成膜し、板状にする技術で、幸成商事が基本特許を取得。バインダーで覆われる従来の光触媒コーティングに比べ、酸化チタンが裸のまま剥き出しで露出しているので、極めて強いラジカル反応が得られる。この酸化チタンボードに紫外線が照射されると剥き出しの酸化チタン表面が光触媒作用を起こし、装置内が高濃度のラジカルで満たされる。その中をウイルスや菌を含む空気が通過する際に瞬間的にラジカルがウイルスや菌を攻撃し、完全分解除去して清浄な空気に変えるというメカニズムだ。

この機構により、フィルターで菌やウイルスを捕獲削除する市販の空気清浄機に比べ、「ラジカルでウイルスや菌を完全分解、除去してしまうので、臭い成分も含めこの装置を通過したあらゆる成分を完全分解、除去する」と、空気浄化作用への自信を示す。

同装置のコアの高濃度酸化チタンボードはその効果を公的試験機関で確認済み。新型コロナウイルスの入手が困難な中、類似性の高いA型インフルエンザウイルスで代用試験を行い、99.9%以上除去することを実証。また光触媒のJIS試験においても高いレベルで合格、新型コロナウイルスのクラスター対策用空気殺菌装置として販売することとした。

菊水化学は自社の営業拠点や全国の塗料販売店、ハウスメーカーなどのルートを通じて販売を行う予定。

なお、「ラジカルバスターV1」のサイズは幅35cm、高さ50cm、奥行き20cmで、有効範囲は約20畳(30㎡)/台。販売価格は17万5,000円(税別)/台。