フッ素樹脂塗料や無機系塗料など高スペック塗料の話題を多く聞くようになったものの、建築塗装市場では水系のアクリルシリコン樹脂塗料がいまだに圧倒的なシェアを占めている。その分、最も競争の激しい塗料分野だが、「そこで勝ち抜いてこそ本物」とあえて勝負に挑んでいるのが同社の主力製品「水系ファインコートシリコン」だ。

同品は昨年の製品改良で市場への訴求力と説得力を高めた。その根拠となるのが、世界的な化学メーカー・BASFとの共同開発による耐久・耐候性能の一段のアップ。自動車や建材など高い耐久性を必要とする用途で高いシェアを持つBASFの高耐久性光安定剤「Tinuvin(チヌビン)」を、建築塗料向けに応用した専用樹脂を共同で開発、汎用的なシリコン樹脂塗料との性能差を明確にした。

ポイントはBASFとの共同開発及び「Tinuvin」の採用を明らかにした点。原材料の固有の名称を表示するのはこれまでになかったケースで、光安定剤の働きと性能、世界的な化学メーカーとの共同開発によるものであることを根拠に建築塗装市場で説得力を高めたい狙いがある。「施主への説得力と分かりやすさを高めることで、塗装店も塗料販売店も売りやすくなる」とし、BASFとの共同ブランディングの効果を求めていく。

一方、昨年日進産業と提携して販売を始めた断熱塗材の「キクスイガイナ」も、「工場、倉庫、ゼネコン案件など当社なりのルートで需要が出てきている」と順調に滑り出しているようだ。