コンクリート構造物向け ラインアップ拡充

大日本塗料はコンクリート構造物向けの展開を強化する方針だ。構造物塗料を扱う事業部内にコンクリート構造物向けを主体に動くチームを設置しており、製品の出荷動向や市場調査などを行っている。


コンクリート構造物市場について「国内の70万橋のうちの約6割にコンクリートが使用されており、その市場性は高い」との見方を示し、製品ラインアップの拡充を図っていく。

近年、コンクリート構造物の維持メンテナンスに関心が高まっており、国や自治体、高速道路会社などではコンクリート塗装仕様の規格化が進んでいる。同社ではそうした規格に対応した製品ラインアップを揃えるとともに、新たな要望へも対応していく。

コンクリート向け製品は「レジガードシステム」として展開。コンクリート構造物の劣化防止を目的とした保護補修材及びシステムの開発にも生かされコンクリート構造物の防食・補修・美装用「レジガードシステム」を確立した。はく落防止や中性化防止・鉄筋腐食抑制などのアプローチでコンクリート構造物を守る。

そんな中、今年からは新たに特殊ウレタン樹脂系はく落防止システム「レジガード1DFシステム」の展開をスタートさせている。

"1DF"とは1 Day Finishの略で、従来工法であれば2~3日必要だったものが、最短1日の施工で仕上がる工程短縮タイプとして開発した。

標準塗装仕様は①プライマー②接着材下塗り③シート貼付④接着材上塗り。含浸接着材が耐候性に優れているため、上塗り(塗装)工程が不要となり、施工日数が最短1日で可能になった。更にプライマーが特殊ウレタン樹脂のため乾燥性に優れ-5℃環境でも施工が可能となっている。

はく落防止性能として、押抜き試験(JSCE-K533)で(要求性能:変位10mm以上・最大荷重1.5kNに対して)最大荷重2.60kNの高い耐荷重性を有する。

標準塗装仕様としてはプライマーを入れているが、プライマーレスで躯体に直接、レジガード1DF(接着材下塗り)を塗布する仕様も可能。「発注者の規格に対応したスペックを組める」と対応力を備えている。

コンクリート構造物では、はく落防止の需要が大きく、その工法で工程短縮が可能になった「レジガード1DFシステム」の関心が高い。既に案内した施工業者や発注者側から引き合いが出ており、提案を積極化させていく。

また、予防保全としては、コンクリートの耐久性をアップさせる浸透性吸水防止システム「レジソークType1」を展開している。同システムはシラン・シロキサン系表面含浸材で、外部からの水分や水蒸気の吸水を阻止し、更に下地に含まれる水分や水蒸気を外部へ放出するためアルカリ骨材反応を防止する。空気中の二酸化炭素の侵入を抑制するため中性化を防止する。

含浸によりコンクリートの質感を損なわないため、表面劣化状態の確認が容易にできるというメリットもある。施工に関しても、ローラー1回塗りのため従来工法(表面被覆工法)と比べて施工費が安価になる。

NETIS(国土交通省新技術情報提供システム)登録済み(登録番号:CG-120004-A)。NEXCO規格にも適合。

その他として、上水道コンクリート施設向け「レジガードWP-NSシステム」、下水道コンクリート施設向け「レジガード防食システム」、多機能付与形コンクリート保護工法「レジガードSDシステム」、コンクリートの落書き・貼り紙防止対策「マジックアート」など用途に合わせた製品群を揃えている。

橋梁では鋼材とコンクリートが複合する場合が少なくなく、材料供給する同社としても複合した提案を進めていく。今後、橋梁だけでなくプラントやタンクなどの構造物でも、同様の提案の必要性が増してくるとの見方を示し、ラインアップの拡充を図っていく。

同社は「強みは対応力。施主の要望にできるだけ早急に対応し製品開発を行う。更に要望を拾い上げ改良・開発につなげる。それを繰り返すことで市場ニーズに対応した製品を供給していく」として事業拡大を目指す。

主な実績
厚膜ふっ素樹脂系
○国交省・米子大橋(1,700㎡、2007年)
○東京スカイツリー(9万㎡、2009年)
○電力会社・排気塔(1万2,640㎡、2013年)
○電鉄会社・橋梁(3万6,000㎡、2011年)
○製鉄会社・煙突(2万㎡、2014年)
○電力会社・集合煙突(1万㎡、2014年)
○電力会社・集合煙突(2万5,800㎡、2016年)
水性重防食システム
○民間プラント・タンク(500㎡、2011年)
○保険会社・ビル機械式駐車設備(1,052㎡、2012年)
○石油会社・タンク(1,140㎡、2013年)
○大阪府・池島歩道橋(470㎡、2014年)
○大阪府・北宮歩道橋(400㎡、2014年)
○国交省関東地整長野・大原橋(1,500㎡、2016年)

大日本塗料のWEBリンク


プロフィール

企業プロフィール 大日本塗料は昭和4年に日本電池株式会社より分離、独立し鉛粉塗料株式会社として発足。昭和11年に社名を大日本塗料に改称し、総合塗料メーカーとして80年超の歴史を歩んできた。事業領域は家電製品、住宅、自動車、情報関連機器、車輌、高層ビル、大型橋梁など社会のさまざまな領域で活躍する。その中でも鉄構造物を錆から護る重防食塗料分野ではリーディングカンパニーとしての地位を確立。近年、環境に配慮した水性重防食塗装システムの実績を大きく伸展させている。また、社会的にコンクリート構造物の維持管理の重要性が高まる中、はく落防止、劣化防止、耐久性向上に寄与するシステムの開発に注力している。


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