鋼構造物塗装の塗膜剥離において剥離剤による湿式工法がトーンダウンしている。2014年5月の厚生労働省による「鉛等有害物質を含有する塗料のかき落とし作業に関する通達」を契機に、湿式工法が急拡大してきたものの、近年は循環式ブラストの台頭などもあり、その割合が減っている。

そんな中、国土交通省は今年2月に「土木鋼構造用塗膜剥離剤技術の技術公募」を実施した。国交省は、新技術情報提供システム(NETIS)のテーマ設定型(技術公募)を行い、客観的に性能を評価することで、現場活用の早期拡大を図っていく方針だ。

国交省では以前にも同じ技術公募を実施し、同一条件での比較を行った結果として技術比較表を2019年3月に公表している。そこから5年が経過し、同様の技術がNETISに複数登録されてきたため、新たな技術比較が必要となった。

今年2月13日から3月8日までの期間で公募を行った結果、7つの技術が選定された(図)。選定された技術は、今後、技術検証試験を行い、その評価結果はNETIS ホームページの「テーマ設定型の比較表」として公表する予定。時期は来年と見られる。
なお、2019年に実施した土木鋼構造用塗膜剥離剤技術は以下の10技術となっている。

アクアリムーバーエコ工法(菊水化学工業)△インバイロワン工法(インバイロワンシステム)△エコクリーンバイオ(ヤマダインフラテクノス)△EPP(エコ・ペイント・ピーリング)工法(JFEエンジニアリング)△ネオハクリ工法(ネオス)△ネオリバー泥パック工法(三彩化工)△バイオハクリX-WB(山一化学工業)△パントレ工法(好川産業・ソーラー)△ペリカンリムーバー(大伸化学)△リペアソルブS工法(三協化学)。

この10技術に今回の公募で7技術が加わることが想定される(重複含む)。粉塵や騒音が発生せずに既存の塗膜を除去できる工法としての用途は幅広く、自社製品の特長を生かせる分野での事業戦略に注力していく方向だ。