バイオマス硬質ウレタン塗料を開発

東日本塗料は社会課題に有効な塗料開発に注力する方針を掲げ、環境、気候変動、職人不足に焦点を当てた製品開発を積極的に推進する。今般、硬質ウレタン型塗料のバイオマス化を業界に先駆けて開発し、バイオマスマークを取得し製品化。7月3日より「フローンフルトップBio」として塗り床市場向けに販売をスタートさせた。


7月上旬、東日本塗料は都内で記者向け製品発表会を開催し、新製品であるバイオマス特殊硬質ウレタン厚膜型塗り床材「フローンフルトップBio」の説明を行った。

「フローンフルトップBio」はバイオマス原材料を35%含有しており、塗料としてバイオマスマーク35を取得済み。硬質ウレタンタイプのバイオマスマーク取得は塗料では初という。

バイオマスマークとは生物由来の資源(バイオマス)を活用した環境商品の目印で、日本有機資源協会が審査、認定を行っている。

従来の石油系原料から植物由来原材料に置き換えることで、石油資源の節約やカーボンニュートラル、SDGsの取り組みに貢献する。

製品のライフサイクル全体のCO2排出量で考えるLCA(Life Cycle Assessment)の観点では、溶剤系塗料のCO2排出量を100とした場合、「フローンフルトップBio」は約30%削減、同タイプの厚膜型無溶剤塗料と比べると約20%のCO2削減効果が見込める。

代表取締役社長の細谷義憲氏は「ターゲット顧客はカーボンニュートラル達成に取り組む企業、SDGsに関心を寄せている企業、その他環境を意識したお客様です。2050年のカーボンニュートラル実現に向け、業界に先駆け開発したフローンフルトップBioは社会に貢献できる製品」と自信を持ち積極的に販売を進める。

耐衝撃性がワンラックアップ

「フローンフルトップBio」は長らく販売してきた硬質ウレタン厚膜床塗材「フローンフルトップ」のバイオマスタイプの位置付けで、塗料性能については同等を確保している。

特長の1つ目は耐衝撃性。硬質でありながら適度な柔軟性があるため強靭で、1~3mm程度の厚膜が得られる。更に、「従来の石油系樹脂と比べて植物由来原料に起因するところだが、従来タイプよりも割れにくく、より強靭性がある」と説明。従来よりもワンランクアップしている硬質ウレタン樹脂のため「特殊」硬質ウレタンと称している。

2つ目の特長として耐薬品性及び耐油性を有しており、具体的には耐酸・耐アルカリ・耐油・耐水性に優れ、長期にわたり床面を保護する。

その他にはコンクリートやモルタルの劣化、発塵を防ぐ防塵性や、重量物の走行や台車といった運搬などの負荷に耐えて床を守る。環境配慮という点では、バイオマス化だけでなく、特定化学物質や厚生労働省指針の室内空気汚染13物質も非配合の設計。

施工では「フローンフルトップBio」の特長が生きる。塗装作業において高温多湿の時期は、ウレタン特有の炭酸ガスで発泡しやすいと言われているが、新製品は処方的に反応ガスの出方を制御しているため、高温多湿の環境下でもきれいに仕上げることが可能。

用途としては、食品工場や機械工場、倉庫、屋内駐車場、店舗床、自動車整備工場などさまざまな床面を想定。製品価格については「従来品の1~2割程度のアップ。社会に貢献する思いがあり価格は抑えている」と細谷社長。環境意識の高い施主に企業価値に寄与する材料として提案していく考え。

また塗装現場の人手不足対策という観点では、施工単価の上昇は重要な要素。価格競争が進む中で、付加価値製品を投入することで、「施工単価を上げたいという思いがある。職人さんが適正な対価をもらってほしい。施工単価を上げることもメーカーの役割」とユーザーを後押ししたい考え。

細谷社長は「今後、企業では環境に配慮した省エネ型の設備投資が行われる中で、床面を塗り替える機会が増えてくる。その際、環境に配慮しカーボンニュートラルやSDGsを意識した施主をターゲットに展開していく」方針を掲げる。

環境、気候変動、職人不足に焦点

バイオマス塗料のニーズは現状強くはないと冷静な見方を示し、「爆発的に売れるとは考えていない。社会に貢献する意味で一歩ずつ着実に現場を取っていく製品」との考え。とはいえ、新製品の案内を行う中で、厚膜型塗り床材については「無溶剤系が環境に良いという認識だったが、今回フローンフルトップBioを紹介したときには確実に施主の関心はある」と潜在需要の顕在化を狙う。

従来品は継続して販売していき、「フローンフルトップBio」はプラスアルファとして展開、従来品の売上の3割程度の販売を目指している。

今後の展開として、バイオマス塗料のシリーズ化を含めて、社会課題に対応した製品開発に注力していく方針。

細谷社長は「新製品を世の中に送り出すことにより塗料業界を盛り上げるとともに、社会に貢献していきたい。社会課題解決のための環境に配慮した製品を開発し提案、提供することで持続可能な社会の実現に貢献することを目的としている」と述べ、製品開発コンセプトとして、環境、気候変動、職人不足の3つのキーワードを挙げる。

更に「バイオ系はシリーズ化して出していきたいと考えている。しかし、(すぐに次が出せるほど)開発は簡単なものではない。そこで3つのキーワードのうち今着目しているのは気候変動。機能として速乾、省エネ、省工程に寄与するものを第一優先で製品化していく」との展望を語る。



細谷社長「新製品開発で社会に貢献したい」
細谷社長「新製品開発で社会に貢献したい」
バイオマスマーク35がラベリング
バイオマスマーク35がラベリング

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