日本塗料工業会によると、2023年度の高日射反射率塗料(遮熱塗料)の全出荷量は、対前年比1.2%減の1万4,431トンとなった。コロナ禍からの需要回復が期待されたが、建築用塗料全体と同様、市況低迷が影響した。
全出荷量の内、建築用は対前年比1.4%減の1万4,203トン、道路用は25.5%増の207トンと3年ぶりの増加となった。
本紙推計によると、2023年の遮熱塗料市場は、メーカー出荷ベースで約158億円。2021年の約125億円に対し、2022年は約145億円、2023年は約158億円と金額ベースは上昇を続けており、需要低迷を価格改定で押し上げている構図がうかがえる。とはいえ、対前年比1.2%減は建築塗料全体と比べると微減にとどめており、厳しい市況ながらも遮熱塗料の付加価値性は相対的に高まっているといえる。
特に今後、期待されるのが法人需要。職場環境の改善、エネルギーコスト削減は不可避の施策となっており、企業業績の回復と合わせて営繕需要に活発さが出てきた。メーカー各社も法人需要獲得に向けた販促活動を強化しており、営業展開に多彩さが見られる。
戸建て塗り替えがボリュームゾーンである遮熱塗料市場において、法人需要でどこまで底上げができるか。企業の"暑さ対策"をチャンスにつなげたいところだ。
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