日本塗装工業会は10月25、26日の2日間、愛知県体育館で「第25回全国建築塗装技能競技大会」を開催した。全国から選ばれた48名が出場し、最優秀賞の内閣総理大臣賞は、東京支部の清水義行氏(佐藤興業)が受賞した。

今年の課題は前年と同じ①フレックスコート自由仕上げ(自由課題)②つや有り合成樹脂エマルションペイント刷毛塗り仕上げ③下地作業フレックスコート平滑仕上げ④フレックススウェード木目調仕上げ⑤防水形外装薄塗材E(単層弾性)ローラー塗り仕上げ⑥調色の6科目

1日目につや有り合成樹脂エマルションペイント刷毛塗り仕上げ、フレックススウェード木目調仕上げの下塗り、単層弾性ローラー塗り仕上げが終わっていること、調色塗り板の提出を終わらせなければならない。「今回の技能大会の特徴は人によって作業の進み具合が全く異なること。特にコテに慣れていない出場者が少し遅れを取っている印象」(審査員)と今年の傾向を話す。

今回、新たな試みとして塗装仕上げであれば立体的な意匠を表現できるモールディングを使用できるようにした。従来は自由課題といっても使用しなければならない材料が決まっているなど、制限されている部分があったが、今回それをなくしたことで個性を生かした意匠性の高い作品を狙った。

技能委員長の柏光一氏は「意匠性の表現力は、これから塗装職人として必要になってくるもの。モールディングなどを使用した立体表現を塗装職人の新たな文化にしていきたいと思い新たに大会に取り入れた。私自身もどんな作品が出てくるのか楽しみにしている」と説明する。出場者は木のパネルやスチレンフォームなどを使用し立体的な意匠を取り入れていた。

内閣総理大臣賞を受賞した清水義行氏は「嬉しいです。単層弾性は普段の作業で触れることが少ないため不安でしたが、今はほっとしています」と受賞の喜びに顔をほころばせた。

また、フレックスコート自由仕上げの審査員評価部門に輝いた愛知県の青山拓也氏(宮木商会)は「レベルが高い大会で結果を残せたことは素直に嬉しい。自由課題は特に力を入れた部分。それを評価していただいたことは自分の自信にもなった。今後も精進していきたい」と語った。青山氏は塗装後にラップを塗装面に張って剥がしランダムな仕上がりを表現するラップ塗装という技法を取り入れた。「制限時間とデザイン性を考慮して工法を選定した」とコメントした。

その他、国土交通大臣賞に高橋淳一氏(東京支部・佐藤興業)。最多受賞は厚生労働大臣賞の他、つや有り合成樹脂エマルションペイント刷毛塗り仕上げ、調色の2種目で受賞の新垣翔太氏(東京支部・大沢光太郎建築塗装)となった。