戸建住宅の塗り替えリフォームの受注に向け、新たな可能性が広がっている。新築後の瑕疵(かし)保証が切れる住宅に対して「延長瑕疵保証」を使った塗り替え工事の受注だ。保証期間の延長で施主の安心感を誘い、受注機会を高めることにつながりそうだ。

新築住宅に、10年以内に瑕疵が見つかった際に、保証を行えるよう工務店などに住宅瑕疵保険の加入を義務付けた「住宅瑕疵担保履行法」。2009年の施行から10年が経ち、今年10月から保証が切れる住宅が出始めてくる。

大手ハウスメーカーはOB客に対して保証切れのタイミングで定期点検+メンテナンス工事を行うことで独自の延長保証を付保。5年や10年周期でこの取り組みを継続し、最長60年まで保証を行う仕組みを構築している。

しかし、一般の工務店など大手ハウスメーカー以外が建てた住宅に関してはこうした延長保証の制度がなく、住宅瑕疵担保責任保険法人各社は「延長瑕疵保証」の保険商品を昨年あたりから発売、案内を始めている。そしてこの保険商品を適用する場合、塗装工事が重要な役割を担っているのがポイントだ。

例えば保険法人・住宅あんしん保証では延長瑕疵保険の期間を10年とする場合には、①屋根仕上げ材の塗装及び陸屋根・バルコニーのトップコート(保護層)の塗装②外壁仕上材の塗装③各部シーリング工事④雨掛かり木部の塗装をすべて実施する必要があるとしている。つまり、品確法に基づく「構造の欠陥」及び「雨水の浸入」の延長保証保険を利用する場合は、築後10年を越えた段階で屋根・外壁の塗装工事が必須となり、塗装店などにとって有利に働くことになる。

ただし、保険契約者は原則、住宅を建てた工務店なので、それら住宅供給者と延長瑕疵保険の情報を共有し、協働・提携していく必要がある。いずれにしても、大切な住宅資産を長く健全に保つための保険制度が確立され、塗装がそのための必須条件になったことで、受注機会の拡大につながりそうだ。