久保孝ペイントは3月1日から粉体カラーカードシステムで1ケース3.6kgの超少量販売を開始する。同社が進めるSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みの一環としてユーザーでの廃棄物削減を目指すとともに、少量・即納体制を強化することで粉体塗料の新たな需要の掘り起こしを図る。

同社が展開する粉体カラーカードシステムは、常備在庫207色について、1ケース(15kg)からの即納に対応する。溶剤塗料と比べたときに、粉体塗料の課題とされている販売数量と納期が改善されたシステムとして認知度は高い。

粉体塗料は一般的に数百キロ単位での注文・販売が多いが、同システムでは常備色で対応するため15kgから販売が可能。少量多品種を扱う塗装専業者などの粉体塗装ユーザーにとって使いやすいというメリットがある。

今般、従来の15kgよりも更に利便性を高めた1ケース3.6kgからの注文をスタートさせる。対象はカラーカードの全207色のうちトリボガン対応塗料を除いた205色で、ソリッドカラーや特殊模様粉体塗料などをラインアップ。常備在庫として揃えている。

現状、粉体塗装の現場では、余った塗料が倉庫を圧迫することや、廃棄作業の発生が問題として挙がっており、同社が現場をヒアリングする中で「もっと少量で調達できればムダがなくなる」との要望が多く聞かれた。

そこで、昨年から会社方針として掲げるSDGsの取り組みに合致することもあり、必要な分だけ購入できる粉体カラーカードシステムによる超少量販売を行うことを決めた。既存の粉体塗料生産ラインとは別に小分け作業を行う専用設備を設置し効率的な生産体制を整えた。

従来の15kg単位よりも少量で粉体塗料が購入できるシステムとなるため、「短期的には個別の注文数量が減るかもしれない」と想定するが、長期的には新たな需要の創造につながるとの見方を示す。

目指すのは新たな粉体塗料ユーザーの掘り起こしだ。今まで粉体塗料を使っていないユーザーであっても、試作塗装や数点の品物の塗装で「粉体塗装をしたい」との潜在的な需要はあると分析する。溶剤塗料並みの数量で粉体塗料を販売することでそうした潜在需要を顕在化させてユーザー層の広がりを目指していく。