オートサプライヤー5社が連携するトップネット(会長・中山勇人氏=サンエース社長)の第24回全国大会が16日、17日の2日間、ANAクラウンプラザホテル神戸で開催された。全国大会の開催は、2019年の札幌以来5年ぶり。当日は経営者、幹部、従業員ら88名が一堂に会し、結束を深めた。
トップネットは、自動車補修分野を主力とするマルサン塗料(北海道)、協立塗料(宮城)、伊丹塗料(東京)、サンエース(兵庫)、大井産業(福岡)の5社から成る同業組織。1996年に発足し、当時サンエース社長の永来稔章氏が初代会長に就任。現在、5社を合わせた事業拠点数は66(関連会社及び別事業含む)、総従業員数460名に及ぶ一大ネットワークを形成している。
こうした組織力は、現在246アイテムに及ぶオリジナルブランド(TN)の販売基盤となっているが、中山氏は「信頼関係の構築に専念した初めの3年が今の結束につながっている」と強調。この日の全国大会では、発足の経緯を振り返りつつ、これまで築き上げた結束を再確認する機会となった。
参加者の熱気が会場を包む中、開会あいさつに立った清水正夫氏(伊丹塗料社長)がTN商品の拡販の強化を求めたのに続き、中山氏が会長あいさつを述べた。
中山氏は、会の発足の経緯に触れ「当会は、知り合い、学び合い、扶け合いを基盤に自主・民主・連帯を基本精神にした会であることを改めて認識して頂きたいと思います」と説明。続いて「今回のテーマは『トップネット変革の時、新たな挑戦』としました。世の中や業界が大きく変わろうとしている今こそ、変革をチャンスと捉え、挑戦することが重要です。我々の目的の1つに商品力、情報力、サービス力を提供し、超競争力のある会社を作るがあります。業界トップのネットワークとして変化に機敏に対応し、より良い経営環境を作るため、1人ひとりが未来を作るとの思いを持ってこの2日間取り組んで頂きたいと思います」と述べた。
バズセッションで悩み・課題を共有
全国大会のメインプログラムは、各社から選抜された従業員による代表講演と虫などが飛び交う様子を例えたグループ討論のバズセッション。初日は、5社から7名が代表講演に立ち、入社に至った経緯から現在に至る経緯、今後の展望について語った。
なぜオートサプライヤーの門を叩くに至ったのか。それぞれ入社の経緯は興味深い。「高校を出て飲食店に勤務したが肉体的に厳しく、コミュニケーション力を生かした営業職に就きたいと思った」「自動車学校を経て整備士として忙しく働いていたが、家族との時間が持てず転職を決断した」とさまざま。入社後は、顧客と応対する中での心境の変化が赤裸々に語られた。
「引き継ぎのプレッシャーで押しつぶされそうになった」「自己管理の甘さを思い知らされた」「後輩ができたことで顧客を見る目が変わった」「諦めずに飛び込み営業を続けたことが、適応力を身につける機会となった」「整備技術に精通していても塗料・塗装の知識がなければ通用しない」など、厳しい経験や失敗が成長のための不可欠な経験と捉える。
中でも参加者の共感を集めたのが、失敗から顧客の信頼を取り戻したエピソード。「新規工場の立ち上げを任されたが、管理が甘いとの理由でその社長から全く相手にされない期間が続いた」と物売りに集中していた当時の自分を反省したという。その後も苦しく、折れそうな時もあったというが、その顧客との対応を続けた3年後、その社長から呼ばれ、再び新工場の立ち上げを任され、涙したという。
代表講演で語られた経験談は、その後行われたバズセッションで深掘りする形で、それぞれの立場で意見が交わされる。バズセッションのテーマは①「リーダーが果たす役割とリーダーとして一番大切なことは」②「TN、ノートン商品の強みとは?それをどう活かすか?」の2題。経営者、幹部、一般従業員を交えて、活発なバズセッションが展開された。
先述の顧客から見放された場合の対応もリーダーの対応力が問われる難題の1つ。
「頑張り続けろと檄を飛ばすか、本人のモチベーションに配慮し、担当を替えた方が良いか非常に難しい問題」との意見が出る。こうした会社の垣根を超えた現実的な課題や問題を共有できる関係がトップネットの結束を強めている。