新製品内覧会「サナックフェア2021」をオンラインで開催

塗装機器メーカーの旭サナックはCO2低減に代表される環境対策及び労働生産人口の減少に向けた具体的な取り組みを強化していく。塗装業界を取り巻く環境における喫緊の課題に対して、新型塗装機器やITを活用したシステムを拡充した事業戦略を推進していく。


4月、同社は新製品内覧会「サナックフェア2021」を初の試みとなるオンラインで開催し、新製品の紹介とともに事業戦略を示した。

代表取締役社長の間宮幹雄氏は「このコロナ下、ウェブを活用したかたちでメインテーマに『デジタルイノベーション~塗装技術の革新を目指して~』を掲げ開催する運びとなりました。人間とデジタル技術の融合によって塗装工程の合理化、標準化を図り、更に仕上がり品質向上のための人の感性、熟練技能の最大活用を目指すことを狙いとしました。旭サナックグループの総力を挙げてお客様の現場でお役に立つ新製品や新システム、未来型商品などを準備しました」と述べた。

CO2対策に塗着・生産効率の向上

近年、2015年に国連総会で設定されたSDGs(持続可能な開発目標)の関心が高まっており、塗装業界でも対応が迫られる中、同社では「CO2低減に代表される環境対策に向けた具体的な取り組みを、企業が成長する活動として進めることが重要」との考えを示す。

加えて、国内は労働生産人口が大きく減少していくことが決定的となっている。そこで同社ではCO2低減を含む環境対策と労働生産人口の減少に向けた対応策の2つの課題に対して、製品展開をベースに対応していく方針だ。

まず環境対策については"塗着効率の向上"と"生産効率の向上"のアプローチで攻める。塗着効率を高めることで塗料使用量が減少するとともにVOC及び産業廃棄物の削減にも寄与するとの考え。結果的にCO2排出量についても塗料製造、塗装、廃液処理において大幅に低減できる。

対応製品としては「低圧エアラップ塗装システム」を開発。液圧を1~1.5MPa程度の低圧とし、エアレスチップで1次微粒化、少量のラップエアで2次微粒化を行う方式となっている。微粒化に必要なエアが少量のため飛散が少なく塗着効率に優れる。また、デュアル電界方式の新型粉体ハンドガンユニットの開発も行った。

もう1つのアプローチである生産効率の向上については「塗装工程に着目し、より短時間で同等の生産量を確保する。つまり塗装ブースや乾燥炉の稼働に伴うCO2を低減する」と説明。

洗浄や色替えなど塗装していない時間をできるだけ少なくする方法として、「高速色替回転霧化塗装システム」を開発した。ガン先に3層フィードチューブを搭載したことで、ガン先で常に2色の塗料を待機できる。

労働人口減に自動化とデータ化

次に労働生産人口の減少に対しては自動化を提案。「塗装範囲を拡大できるシステムを選定することが重要」として最新のレシプロケータとロボットシステムを提案する。レシプロケータの課題は複数のガンが同じ動きしかできないことで、被塗物の形状や吊り掛け方によっては距離が離れてしまい補正も多く残る。この課題に対して、同社のシステムはより細かく距離を自動調整することが可能。

液体であれば、「スマートサナックシステム」を展開しており、奥行きの異なる形状でも一定の距離で塗装できる。粉体では3次元で形状を認識できるセンサを搭載した「新世代粉体塗装システム」を展開。レシプロケータにはガンを個別に制御する機構を搭載し、ガンが連動し最適塗装距離を保持する。

一方、ロボットについては「限られた時間内でどれだけロボットをフル活用できるかが重要」との考え。通常、複雑形状の場合、パターン向きを調整する動きが必要でスプレーしていない時間が増えてしまう。今般シンプル構造で取り扱いも容易なエア静電ガンタイプの丸吹きノズルを開発している。

更に労働生産人口の減少の対策としては、自動化に加えて、勘やコツといった感覚的な部分をいかに標準化していくかにも取り組んでいる。

まずは塗装状態のデータ化。気候や塗料粘度などを考慮し感覚的に塗装状態を調整している場合が多いが、これらをデータ化し自動取得する。データとして時系列に並べると、管理や改善すべき課題が明確になる。見える化→効率改善(データ分析で課題抽出)→最適化といった積み重ねが品質、コスト、経営上のメリットにつながる。

ロボットの塗装中にはリアルタイムのデータを表示。塗装が完了するとデータを自動的に出力し報告書への展開や実験データベースへと格納する。「あくまで見える化は手段。ここで得られたデータをどう取り扱い、未来へ活用していくかが各社の強みにつながる」と提案する。

人の動きをロボットデータ化する際には「スプレイトレーサ」を展開する。モーションキャプチャーを応用し3次元空間のガンの動きを取得、簡単にロボットの座標へと変換できる。

続いて誰でも同一作業ができる仕組みの実現として生産管理システム「PALCOM EX」を展開。従来からある自動塗装条件の管理に加えて、新たに着荷品目や塗料の調合情報、補正塗装まで各工程で必要な情報を必要なタイミング、確認したい場所に表示する機能を付加した。作業者は画面の表示内容に従い作業するため、作業品質の安定につながる。



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