最新工業塗装技術が一堂に集結
2017工業ペイントショーin信州

塗料ディーラーのNCC(本社・長野県伊那市、代表取締役社長・原田学氏)は11月10日、信州安曇野イベントホールで「2017工業ペイントショーin信州」を開催した。原田社長は「未来は閉塞していない。量の時代は終わった。"つながる""先端技術にふれる"機会をつくり、未来を切り拓くヒントをつかんでいただきたい」との思いを込め、会場では講演会が行われた他、塗料メーカー10社、塗装機メーカー10社、塗膜メーカー(塗装会社など)10社が最新の製品及び技術を紹介した。ユーザーなど280名が来場した。


オープニングセレモニーでは原田社長とともに日本工業塗装協同組合連合会の高橋正会長とタクボエンジニアリングの佐々木栄治社長によるトークセッションが行われた。

その中で原田社長は「流通の役割は、どんな製品をどのように筋立てて何を狙うのかを明確にすること。お客さんの経験を理解し、地域や産業を把握しながら、お客さんと一緒になって考えていきたい。ときにはタクボエンジニアリングさんなどメーカーのやるべきことを当社ができるのであれば任せてもらう。お客さんが開発部隊を持っていないのであればメーカーとの間に当社が立ってサポートすることが必要だ」との見方を示した。

佐々木社長は「自動車はどこまで行っても品質とコスト。品質とコストで世界に勝てるならば生き残れる。自動車メーカーは世界中で競争しているわけで、(塗装会社は)その"親会社"が勝てるような仕事をしなければならない。そのとき世界中のどこに優れた機械があるのかを知っておく必要がある。今一番重要なのは情報で、それをいち早く自分のものにすることが大切だ」と先取り情報の重要性を強調した。

高橋会長は「塗装機メーカーさんが開発されるものには、開発した方の意図があまりアピールされていないように感じる。ラボで試験しても現場での再現性は簡単ではない。どういうために作ったかメッセージを出してほしい。誰でも使えますでは最適性がぼやけてしまう」と使用する立場からの要望を述べた他、日本工塗連として行政、顧客、塗装機・塗料メーカーとの関係性を高めていく方針を示した。

また、講演会は要素技術や先端技術に関する内容として、塗料メーカー、塗装機メーカー、設備メーカー、大学機関からの発表があった。

タクボエンジニアリングの小島光氏は「塗装のビジネスモデルを変えるスワンの未来像と開発中の技術」と題し、来月発売予定の回転塗装ロボット「SWAN Pro(スワンプロ)」を紹介。新ロボットの大きな特長は3D表示のティーチングアシストソフトを標準搭載。現状、ロボットの軌道データやスプレー条件が数値化されてもティーチングプロセスはアナログ作業が多い中で、3Dスキャナを応用することで現場のアナログ作業をデジタル化した。

「これまで実機に近づいて確認する以外に方法がなかったガンとワークの位置関係をPCモニタ上の3D表示で簡単に確認が可能。つまりオンラインティーチングが実機でも事務所でもできる」(小島氏)。

同社はワークの3Dデータ化、ワーク配置の最適化、塗装治具の製作、ティーチングデータ作成などを実施しサポートする。今後はシミュレーションによる回転塗装の可視化、人口知能によるティーチングの最適化、軌道データ自動生成などを目指し開発を続けていくとした。

その他として、旭サナックの加藤雅宏氏による「スマートファクトリーに繋がる塗装機器・システムのIoT化構想」、ナトコの伏見慶一氏による「自己治癒クリヤーや防曇コートなど、新たな機能を付与した塗膜開発」など最新の技術動向に関する講演が行われた。

展示ブースではトップ工業が落下ゴミを未然に防ぐ「SHU-HEI」及び安定した品質を確保する粉体搬送技術を紹介。日本工塗連と埼玉工塗協は地元の東信工業塗装研究会と共同で出展し、塗装技術や組合活動を報告。塗料メーカーではナトコの他、オキツモ、日本ペイント・インダストリアルコーティングス、大豊塗料などが出展した。

原田社長は「当初はメーカーさんを講師に迎えたシンポジウムなども考えたが、技術テーマを絞らず広げることで、多彩な先端技術に触れてもらうペイントショーとした。我々流通は仲介業であったが、自分たちが開発する必要があると考える。量の時代が終わった今、自分たちの開発とはと自問したとき"つながる"機会を作ることという結論に至った。未来の閉塞感は自分たちの思い込みだと気づいた。外部環境の変化が激しい中で、お客さんの現場の成果や未来に役割を持たせてもらうことを追求していく」と意欲を見せた。



2017工業ペイントショーin信州
2017工業ペイントショーin信州
会場風景
会場風景
「未来は閉塞していない」と原田社長
「未来は閉塞していない」と原田社長
原田社長㊧、高橋会長㊥、佐々木社長㊨によるトークセッション
原田社長㊧、高橋会長㊥、佐々木社長㊨によるトークセッション

HOME工業用 / 自動車最新工業塗装技術が一堂に集結

ページの先頭へもどる