テクニカルセンターを開設

大気社は2月5日、塗装システム事業の新たな技術開発拠点となるテクニカルセンター(神奈川県座間市小松原2-14-10)を開設した。約20億円を投じ、旧座間技術センターの一部を刷新・拡張するとともに、旧枚方開発部門(大阪)との統合を行い、総合的な開発力と品質保証体制の更なる強化を目指す。


同社は設備メーカーとして、これまで技術開発に関しては2つの拠点を運営してきた。座間技術センターは1980年に設立以来、主として塗装ロボットや各種塗装機器による塗装実験と塗装システムの開発、さまざまなボディや塗料による塗装条件でのシミュレーションなどオートメーション機能に関わる研究開発を担ってきた。

一方、1964年に完成した枚方実験室(枚方開発部門に改称)では自動車用塗装関連の主要設備である前処理、電着塗装、塗装ブース、焼付乾燥炉などの研究開発に取り組んできた。

今回、これらの研究部門を刷新・統合しテクニカルセンターを設立することで、同社は「革新的な環境対応、省エネルギー、品質向上技術の開発を目指す」意向を示す。

具体的には、塗料を液滴単位(液体のつぶ、したたりの単位)でコントロールし画期的に塗着効率を高める方法など。またそれによって可能となる超省エネルギー型塗装ブースの開発や、IoT・AIを活用したシステム開発などに注力する。

航空機塗装向け強化

同社は中期経営計画にもある通り、国内外で航空機塗装など自動車以外の塗装設備事業や新素材に対応する塗装技術、コンベアシステムなどの周辺領域の拡大により、顧客サービス力の充実を図っていく方針を掲げている。

特に航空機の自動塗装に関しては、今後成長が期待できる重要な分野と位置付け独自の航空機塗装システムの技術を有するオンコア社(アメリカ・2014年資本提携)との協働などにより研究開発を加速させている。そのため航空機向け自動化システムの実験設備の導入も図っていく。

開発・品質検証・仮組検証の3棟

テクニカルセンターは地上4階建てで延床面積は約4,100㎡。事務所棟の他、開発棟、品質検証棟、仮組検証棟の3つの施設から成る。

開発棟は環境対策(省エネルギー、公害防止)に配慮した塗装システムの開発を行う施設。自動車塗装工場向けのブース、乾燥炉、ロボット、搬送、塗料供給システムの開発や、自動車塗装技術をベースに航空機や鉄道車両に対する研磨、塗装システムの自動化総合開発を行う。

品質検証棟は顧客の工場や生産現場に納入するシステムの塗装品質を事前に確認し、納入先での調整期間を最適化するための施設。顧客が使用する被塗物、塗料、周辺材料を使用し、納入と同型のロボット・塗装機アプリケーションを用い、顧客や材料メーカーの立ち会いのもと生産条件の作り込みを行う。納入先では品質検証棟で作成したデータを活用し立ち上げ期間の短縮及び製造品質を最適化する役割も担う。

仮組検証棟は顧客の工場に納入するシステムの動作、機能、品質を出荷前に保証するための施設。納入する機器を設置し、圧縮エアー・塗料チューブと電気ケーブルを接続し、顧客立ち会いのもと操作・動作確認及びトレーニングを行う。また事前組付けにより最適なモジュール化を検討することで、更なる工程短縮と施工品質の向上を図る。

また、5日に事務所棟にて開所式を実施。ユーザーや取引先企業など100名が参加した。あいさつに立った芝利昭社長は「今回の統合によって総合的な開発力と品質保証体制を更に強化するとともにお客様のご意見やご要望をダイレクトかつきめ細かくお聞きするコミュニケーションの場としても当センターを活用していきたい」と展望を語った。



事務所棟
事務所棟
開発棟
開発棟
テープカットの様子
テープカットの様子
施設全体図
施設全体図

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