レーザーブラスト事業に参入
防食・工業用で展開

塗装資材専門商社の好川産業(本社・大阪市、社長・好川久雄氏)は、今年からレーザーブラスト機の販売展開を本格化させる。同社では橋梁向けに塗膜剥離剤や関連資材をまとめたワンストップサービスの強化に注力しており、レーザーブラストの投入で塗膜剥離事業の成長に弾みをつけたい考え。一方、昨年12月の高機能塗料展で製造業関連などから高い反響を得、工業用途にも活路を見出している。


レーザーブラスト工法は、レーザーを被塗物に照射し、塗膜を瞬間に焼却し除去する工法。鋼板の切断など機械加工では多用されているが、塗膜剥離に用いたところに画期性がある。

簡便で高い剥離性と粉塵などの廃棄物が出ない点を特長とし、一般のブラスト機や塗膜剥離剤が入りにくいボルト回りや添接部について有用性を発揮し、作業性と環境対応を兼ね備えた工法として普及拡大を見込んでいる。

既に複数の企業が海外製品を輸入する形で塗膜剥離用途での展開を図っているが、メーカー商社として塗装資材販売で培った流通チャンネルを強みに一気に拡大していきたい考え。4年前に投入した塗膜剥離剤「パントレ」においては鉛対策、施工現場の安全確保を追い風に右肩上がりの成長を続けており、負圧機、除塵機、関連資材などを一括で供給できるサービス力を武器に剥離事業の押し上げにつなげていく意向を示す。

同社が取り扱うのは、建築資材商社・フルサト工業が開発した「Fiber Laser」(国内メーカー製)。両社が得意とする建築、プラント、塗装、自動車、工業分野で双方のシナジーを生かし一気に広範囲の業種に展開する方針。

同社としては当面、橋梁などの重防食塗装を手がける塗装業者を中心にレーザーブラスト工法をPRしていく意向で、直近では3月16日、17日に開催する「近畿マルヨシフェア」(大阪)で実機を披露する予定。春には講習会の開催を計画している。

しかし、実用化には多くの課題を残している。最大の課題は導入コストの高さだ。

剥離性能はレーザーエネルギーによって決まるが、塗膜剥離で推奨とする1,000W~2,000Wの出力を持つ装置の価格は、2,000万~5,000万円程度(仕様により異なる)。更にレーザーブラスト後は酸化皮膜を形成するため、上塗り時にはブラストで素地調整する必要があるなど、導入コストをカバーする施工コストのダウンが不可欠だ。

そこで同社は、塗膜剥離剤や一般ブラストなど用途に応じた材料及び機器の選択を提案していく方針。担当者によると「面では塗膜剥離剤による施工が速いが、添接部においてはレーザーブラストの方が圧倒的に優れる。複数の工法を適材適所で組み合わせることで、全体のコストを下げることができると考えている」とコメント。施工単価20,000円/㎡を実用ラインとして、施工ノウハウの蓄積を進める意向。既に導入に前向きな姿勢を示すユーザーも出ているという。

塗装ハンガーの塗料剥離を視野

橋梁向けへの展開を見据える一方で、早くも実需につながりそうな気配を見せるのが工業用分野での展開。昨年12月に幕張メッセで開催された「高機能塗料展」で実機デモを行ったところ、連日人だかりができるほどの盛況ぶり。予想を超える反響に用途展開の可能性が視界に入ってきた。

用途として顕在化したのは、塗装との密着性を高めるための素地粗しや錆などの汚れ除去。展示会場では、出力50Wの実機で錆を取るデモを行ったが、そのスピードと剥離性能に鉄道会社や鉄工所、自動車業界などが高い関心を示したという。錆取りに要する50Wの導入費用は350万円程度と従来の同種の装置と比較した場合、約2分の1と低価格となっており、板金業界、金型業界への普及につなげたい考え。出力の異なる複数の機種をラインアップしており、用途に応じた機種提案を図っていく。

その中で特に同社が新たな需要先として期待するのが塗装専業工場などで使用する塗装ハンガーに付着した塗料除去。機器単体での使用も可能だが、同社では塗装ラインにレーザーブラストを組み入れることで、自動塗膜除去システムの構築を目指している。「まだまだ知見の足りないところもあるが、設備会社や工業用ディーラーと協業し、実用化を図っていきたい」とコメント。橋梁、工業用分野ともに人手不足を課題に抱えており、省人化に寄与する新技術として販装連携での拡大を指向している。

◇機器ユニット構成
ファイバーレーザー用出射ユニット、プロセスファイバー、カプラ、ファイバーレーザー発振装置、純水チラーユニット。



高機能塗料展の様子。実機デモに注目集まる
高機能塗料展の様子。実機デモに注目集まる

HOMENew Trendレーザーブラスト事業に参入

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