「RUBBER DIP」カスタムカーからホビー分野へ

鈑金塗装業のジェットストローク(本社・千葉県鎌ヶ谷市、社長・佐々木裕一氏)が製造・販売する、塗って剥がせる塗料「RUBBER DIP」が用途拡大に向けて新たな展開に入った。戦略のひとつとして製品化したのがドラムを叩くスティック用に改良した「STICK DIP」。その他にもホビー用品など幅広く展開していく考え。「塗って剥がせる」という製品の特性を最大限に生かし、カスタムカーの需要だけではなく、新たな市場へ需要創出を図っていく。


ジェットストロークはボディショップとして自動車の修理やカスタマイズを行っており、カスタムカーの祭典「東京オートサロン」ではコンテストで賞を受賞するなどの経歴を持つ。その他、自動車を保護するスプレーペイントプロテクションフィルム(SPPF)やヘッドライト再生システム「三代目Jスチームポッド」など鈑金塗装工場向けに製品展開を行っている。そんな同社が2015年に製造・販売を始めたのが塗って剥がせる塗料「RUBBER DIP」だ。

同品の最大の特長はメタリックやパール、キャンディ、カメレオンカラーなどの豊富な色数。塗って剥がせる塗料は従来でも市場に出ていたが、価格が高く、色数も数色程度と少なかった。また、塗装することで耐久性も向上する。

現在RUBBER DIPの施工店、販売店は全国で80店以上と広がりを見せている。「既にRUBBER DIPの専門店もある」(担当者)と話す。

そんな「RUBBER DIP」をドラムを叩くスティック用に改良したのが今回新たに発売した「STICK DIP」。容器を細長い瓶にすることでドラムスティックをそのまま瓶の中に差し込むだけで簡単に塗装が可能。1~2度コーティングしそのまま15分から1時間程度乾燥させるだけで自分好みのスティックをつくれる。持ち手部分に塗ればドラムプレイ中も手になじみ、グリップ力がアップする他、先端部分に塗ればドラムから出る音を抑制できる。

佐々木社長は「軽音楽部に所属している息子の友達からドラムのスティックに塗れないかと言われたのがきっかけ。実際に塗装したスティックをSNSで発信したところ反響が大きく製品化に踏み切った」と説明する。

既に一部のオンラインショップで販売を始めており、色は26色を揃えた。価格は1瓶(200ml)で2,000円。

「RUBBER DIP」多用途展開の発想

同社では今後、「RUBBER DIP」をさまざまな用途へ展開していく考え。「意匠を簡単に変えられるという需要は自動車補修の分野以外にもまだまだたくさんあると感じている」(営業部・中西崇裕氏)と話す。

その中で、ひとつ有望な市場としてみているのが釣りの業界。疑似餌として広く使用されているルアーや重りへの塗装だ。例えば同じ種類の魚でも湖によって食いつく色は違うという。RUBBER DIPはその場で簡単に塗装できるため、湖やそこに住んでいる魚の種類などによって色を変えることができる。魚を釣るための戦略的な要素として同品の使用に期待を示す。

同社は今回、美観の保護という点ではなく、塗って剥がせるという部分に焦点を当てた。自動車の保護だけではない柔軟な発想で新たな市場にアプローチしていくことで「こんなことにも使えないか」との要望や問い合わせが生まれ、需要も広がるという良いスパイラルを生むと考えている。

「ただ美観の保護という点では普通のラッカーやラッピングなどがライバルとして出てくる。一方で、RUBBER DIPは色を変えられ、剥がせることに魅力がある。釣りのルアー以外にもアクセサリー、撮影や展示に用いるジオラマなどを想定しており、場所や気分によって簡単に塗り替えができるところをアピールしていく。それ以外にも今後どういったところで使えるか更に深堀りしていく」(中西氏)とさまざまな分野へ展開していく意向を示す。

佐々木社長は鈑金塗装を母体として事業を行う一方で、特殊塗料の開発などメーカー業へ挑戦していく意向を示す。「塗料で言えば、まだ日本に入ってきていない顔料などもあり、新製品への展開も行っていきたい。RUBBER DIPもどんな使い方ができるのか我々が提供していくことで自動車だけにとらわれず、幅広い市場へ展開していく」(佐々木社長)と新分野へPRを進める。今後RUBBER DIPをホビー用として、40ml、370mlの容器で販売していく。



STICK DIP
STICK DIP
STICKDIPを塗ったドラムスティック
STICKDIPを塗ったドラムスティック

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