カスタムカーショップのジェットストローク(千葉県鎌ケ谷市、佐々木裕一社長)はこの度、中東・ドバイの板金塗装工場と業務提携を行った。同社が展開している、塗ってはがせる塗料「SPPF(Spray Paint Protection Film)」及び「ラバーディップ」をドバイで展開する。

ドバイはアラブ首長国連邦を構成する国家の1つで人口約330万人、近年は中東のハブ拠点として発展している。佐々木氏は今回の海外進出について「日本の事業は大切な柱である一方、国内は人口減少などで市場が縮小していく。更なる成長を目指すため、海外事業に挑戦したいと考えた」と話す。

海外進出に際し重視したのは、発展途上国であること、平均年齢が若いこと、未成熟市場であること。アラブ首長国連邦は1971年に設立され、平均年齢が27歳と若い。自動車関連市場に関してはヨーロッパやアメリカからコーティングサービスが進出してきているものの「SPPFの性能で十分勝負できるレベル」とドバイへの進出を決めた。また、親日国家であることも重要な要素。「砂漠など荒れ地をものともせず走れる日本車は人気が高く、日本人にも良いイメージを抱いてもらっている印象」と話す。

同社は昨年4月にドバイで行われたカスタムカーショー「エミレーツ」に出展。そこで知り合ったパートナー企業と業務提携した。

同社が製造・販売している「SPPF」は塗ってはがせる透明保護塗料。160~230μmの厚い塗膜でボディを強力に保護できる。軽微なかすり傷なら自己治癒する他、研磨が可能でくすみや傷を消し光沢を復元できる特徴がある。加えてUVカット機能も持っており、50℃にも達する厳しい環境でも塗膜を保護できる。「過酷な環境のため塗装の痛みが激しい自動車が多い。SPPFを塗ると塗膜の保護だけでなく、艶も出るため高級感を演出することもできる」と特長を説明する。一方、ラバーディップはメタリックやパール、カメレオンカラーなどの豊富な色数が特長のはがせる塗料で、プロテクションしながらカラーチェンジができる。

塗料性能で勝負できると考える一方で佐々木社長が着目したのがドバイ独自の自動車市場。ドバイでは人口の8割以上を出稼ぎ労働者や駐在員などが占める。特に自動車に乗る駐在員は転勤などで2~3年ほどで勤務先が他の国に変わるケースが多いという。

「自動車の販売業者にとって、販売した自動車をきれいなまま買い取り、再販売できればわずらわしさもない。そこで、当社のSPPFを塗装することで外板をきれいに保護し付加価値を与えるだけでなく、再度販売する時にははがし、必要なら再塗装することもできる」(佐々木社長)と塗ってはがせるというメリットが存分に生かせる。現在月に1度ほどドバイの工場に出向き、塗装などの研修を行っている。「現地のカーディーラーなどに訴求していきたい」と新市場への展開を進めていく。