粉体アルミ建材に新たな耐候性試験

軽金属製品協会とアルミニウム合金材料工場塗装工業会(ABA)はアルミニウム合金製建築材料の粉体塗装の新しい促進劣化試験方法について共同研究を実施。2月下旬、日本教育会館(東京都千代田区)でその報告が行われた。
 開発委員会の野平修委員長は「光触媒反応による早期劣化が懸念される塗料を、50時間程度の短時間で検出する方法として、過酸化水素水噴霧型キセノンランプ式促進耐候性試験が有効であると思料できる」と提言。同試験法は屋外暴露との相関性が高いことから、外装用粉体塗料の選定にあたり有効な評価法との見方を示す。


カーテンウォールやルーバーといったアルミ建材が使用される建築物の工期は、多くが15~18カ月程度というもので、従来の促進耐候性試験のように評価に4,000~50,000時間の長期を要しては、塗料選定段階で実際の色での耐候性を確認できないという問題があった。加えて屋外暴露試験との相関も低かった。

そこで両会は「アルミニウム合金製建築材料の粉体塗装の促進劣化試験方法開発委員会」を設置し、「実暴露試験では10年かかる屋外暴露試験結果との相関性が高く、外装建材の塗膜の耐候性を短時間、50時間程度で評価できる促進耐候性試験の仕様を決定すること」(野平委員長)に着手。なお、50時間とは実物件を想定し、評価試験を開始し報告書を提出するまで1週間から10日までにするという目標。

評価対象は、アルミ外装建材で今後採用の増加が見込まれるふっ素/ポリエステル複合樹脂粉体塗装とし、白、黒、シルバーメタリック、グレーなど代表的な色を選定した。

相関性を評価する屋外暴露試験の場所は南西諸島2カ所と、最も物件数が多い首都圏を想定した埼玉県と千葉県、そして寒冷地(黒部)とした。

今回、新しい促進劣化試験方法として期待される過酸化水素水噴霧型のキセノンランプ式促進耐候性試験とは、紫外線による照射と過酸化水素水のスプレイを行う試験で、酸化チタンの光触媒反応による塗膜の劣化を超高速に評価することができる。

屋外環境における塗膜の劣化には紫外線劣化と光触媒劣化がある。光触媒劣化でみると、酸化チタン含有塗膜に早期劣化の可能性があり、その劣化の再現性として過酸化水素水噴霧型のキセノンランプ式促進耐候性試験が有効であることが分かった。それは南西諸島における屋外暴露試験(2年相当)と、光沢変化の傾向が類似した。

野平氏は「着工から竣工までの工期が1年半、18カ月前後の中規模建築の大半の外装用塗料の選定において、目安を付けるには実務的な有効な評価方法であると考える」との見方を示した。



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