回転塗装技術を追求するタクボエンジニアリングは東京ビッグサイトで開催された「2022国際ロボット展」(3月9日~12日)に出展し、塗装データ作成ロボット「スワンD」や16丁のスプレーガンが搭載できる塗装ロボット「スワンC」などを紹介。塗装の自動化を推進する最新技術を披露した。

データ作成専用ロボット「スワンD」で提案するのが塗装の条件出しと生産の分離。ティーチングデータやスプレーの霧化圧、パターン圧、塗料使用量、塗装時間などの塗装の条件出しは、通常生産ラインを止めたり生産後に行ったりすることが多い。同社ではラインとは分離し専用の「スワンD」で条件出しを行うことで最適条件の追求や効率化が実現できると提案する。「グローバルに生産拠点がある場合は条件出しを日本で行い、そのデータを各拠点に送ることで品質確保や分散生産リスクの回避が図れる」(同社)。

量産化に最適なロボットとして提案するのがスピンドルライン対応の量産型塗装ロボット「スワンC」。化粧品やボトル、小皿などの小物ワークを想定し、スピンドルラインに最適化した小型塗装ロボット。

小型ガン16丁の搭載が可能で、ロボットに内蔵されている特殊シリンジポンプは1CC単位で塗料を制御できる。1ガンに1シリンダーが接続されており、塗料吐出のばらつきをなくし高品質塗装が可能となる。

また、同社はロボットのティーチングや条件設定などをデジタル化するソフトウエアを開発しDX化に取り組んでおり、今回最新のソフトウエア「スワニスト」を出展。塗装の完全自動化に向けた取り組みを紹介した。

スワニストを活用することで、ワークが手元になくてもPC上で配置や治具を検討することができ、ロボットを動かせなくてもティーチングデータを作成することが可能となる。

自動ティーチング構想

スワニストによる塗装アシストは5段階ある。ステップ1はPC上のバーチャル空間でのティーチングとその数値管理、ステップ2は塗装のパスライン可視化とオフラインティーチング、ステップ3は軌道データの部分的な自動修正、ステップ4では流体解析を用いた塗装シミュレーション及びその可視化、そしてステップ5の最終段階ではステップ4までの技術についてAIを活用し人が行う大部分のティーチング作業の省略化を目指す。現在はステップ3までは製品として実装済み。

同社が考える自動ティーチングの構想として、クラウド上にあるAIと流体解析ソフトにユーザーがアクセスしワークの3Dデータをアップロードする。その結果、AIが最適な軌道データとワーク配置を導き出す。