アクサルタコーティングシステムズはEV向け製品「Voltatex」シリーズを中心に市場展開を積極化させている。自動車のEV化が先行する海外市場での実績を強みとして、今後拡大が期待される国内需要の取り込みを目指す。

Voltatexシリーズは駆動モーター向けに電磁鋼板用ワニス、含浸ワニス、巻き線エナメルの3つの製品群をラインアップしている。

まず電磁鋼板用ワニスについて、EVの駆動モーターに用いられる電磁鋼板は鋼板を積層しブロック体を形成するが、同社のワニスはその薄鋼板1枚1枚に絶縁や密着性を兼ね備えている。

更に水性仕様でホルムアルデヒドフリーの環境対応設計、高い絶縁耐力も大きな特長で、絶縁耐力試験のASTM規格では絶縁種別C5、C6に適合している。特にC6は高出力な発電機に対応できる水準となっており、国内の重電機メーカーでの実績もある。

続いて、駆動モーターでは振動を抑えるためにワニスで固めるが、その際に提案するのが含浸ワニス。素早い熱拡散性能を有するとともに、環境に配慮したスチレンフリーというのも大きな特長。国内ではスチレンタイプのワニスが主流となるが、欧州ではVOC対策の観点で脱スチレンの動きが進んでおり、その欧州での実績を重ねる。

更に高性能なEVとなると800Vの高電圧のモーターを使うことがある中でも対応した耐久性を有する。

最後に、巻き線エナメルはコロナ放電による絶縁体枯渇に対する保護として使用されている。

また、EV化で需要の高まりが予想されるバッテリーの保護用としてもさまざまな製品をラインアップする。

その1つはポリオレフィンが主成分の難燃性熱可塑性粉体塗料。塗膜は80kVの高電圧でも対応できる絶縁耐力を有し、熱伝導性及び防錆性にも優れている。熱硬化型粉体塗料について塗膜の硬化条件は焼付温度が140℃となっており、一般的に200℃を超えることもある粉体塗料としては低温硬化が図れる。結果として省エネとなりCO2対策としても効果的と言える。バッテリーパックや放熱板などに適し、塗装することで熱を外に逃がしやすくなる。

バッテリー関連製品に絶縁性を持たせる仕上げとしては、フィルムや電着塗装などがあり、要求性能などによって異なる。その中で「1回で300μm程度の厚膜が確保でき絶縁性を付与できる」(同社)として粉体塗料の優位性を提案する。

その他にも膨張性耐火液体塗料、エポキシ樹脂系粉体塗料など難燃性を持つ塗料をラインアップしバッテリー向けに展開していく。