復活"WIDER"、新型スプレーガン開発

アネスト岩田は1957年から1990年まで展開していたスプレーガン「WIDER(ワイダー)」ブランドを復活させる。現行の「W」シリーズを刷新し、塗装の安定性とメンテナンス性を向上させた新型スプレーガン「WIDER 1」及び「WIDER 2」を開発、8月1日から販売をスタートさせる。「62年ぶりに原点に立ち返り我々の熱き強い思いを込めた」(岩田一取締役)"新WIDER"を工業塗装製品向けで拡販を図っていく方針だ。


アネスト岩田の汎用スプレーガンは1957年から「WIDER」シリーズとして展開、その後時代に即した最適機能を備えた「W」シリーズにモデルチェンジし、工業塗装分野、自動車補修分野、建築分野など幅広い用途で使用されており、2005年に上市したW-101は累計販売台数110万丁を超えるロングセラーとなっている。

このほど、その「W」シリーズを更に進化させて「WIDER」ブランドを復活させた。6月20日に横浜市の本社で「WIDER」の発表会が開催され、今後、汎用スプレーガンはすべて「W」から「WIDER」に変更する方針が示された。

会の冒頭、同社取締役・上席執行役員・コーティング事業部長の岩田一氏は「1957年に新型スプレーガンとしてWIDERシリーズが誕生しました。WIDERとは『幅広いスプレーパターンを持ち、幅広い市場、幅広い用途にご使用いただきたい』という思いとともに将来思考を持ち、海外市場にこの製品を広めていきたいとの願いを込めて命名された製品です。そんなWIDERシリーズは1957年から1990年までの33年間で12モデルを開発・上市し、皆様にご愛好いただきました。その後WIDERの持つさまざまな思いをWという一文字に込めたWシリーズを今日まで長きにわたり販売を行ってきました。そして今日、62年ぶりに原点に立ち返り我々の熱き強い思いを込めた新型WIDERの誕生の日を迎えることができました」と思いを述べ、拡販を進めることでWIDERブランドの浸透を進めていく。

安定性とメンテナンス性を向上
8月1日上市

今回発表されたのは「W-101」の後継モデルの小形スプレーガンWIDER 1と「W-200」の後継モデルとなる大形スプレーガンWIDER 2。基本性能はそのままに品質の向上と性能の安定化を図っている。

大きな特長の1つが安定性の向上。従来のパタン調節装置は1回転で全パタン幅の約45%に達し、1.5回転では約80%、2回転で約100%とほぼ全開となっていた。開度とパタン幅に直線的(リニア)な法則がなく、小パタン時の調整に難があった。新開発のパタン調節装置では1回転では約35%、1.5回転でも約50%、2回転で約70%とリニアに反応するように調整し、より直感的に操作しやすくなっている。

加えて、安定性の向上として個体差の少ない空気弁シートセットを開発。従来の空気弁シートセットはネジで締め込んで固定するため、その開孔部の位置によりエアーの妨げになる個体とそうでない個体が存在、つまり個体差により空気量に差が生じ塗料噴出量やパタン幅に影響を与えてしまう可能性があった。

WIDERでは構造を見直し開孔部を大きく均一にできたため、圧力損失の少ないネジ込みによる個体差の少ない空気弁シートを採用。これにより安定した塗装が可能となった。

もう1つの大きな特長がメンテナンス性の向上だ。キャップのネジピッチを1.0mmから1.5mmに変更したことで、従来の半分の約1回転半で締め込みができ、更にニードル弁は着脱が容易に行える形状とした。加えて、空気ニップルと塗料ニップルにネジのないストレート部を設けたことで、ジョイントの簡単な取り付けを可能とした。

WIDERの塗料供給方式は圧送式、吸上式、重力式があり、空気キャップ形式はWIDER 1が5種類、WIDER 2が6種類をラインアップ。8月1日から市場投入する。WIDER 1の価格は圧送式19,000円、重力/吸上式18,000円。WIDER 2の価格は近々発表される。

また、自動車補修スプレーガンとして展開している美粧シリーズと'kiwamiシリーズを、WIDER 1のスペックを継承している'kiwamiシリーズに統合する。これにより同社のサイドカップ自動車補修スプレーガンは'kiwamiの単独ブランドとなる。工業塗装分野は復活させたWIDER、自動車補修分野は'kiwamiの新型スプレーガンで新たな価値を訴求していく。



復活した新型スプレーガン「WIDER」
復活した新型スプレーガン「WIDER」
新開発のパタン調節装置により操作性が向上した
新開発のパタン調節装置により操作性が向上した

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