BASFジャパンは6月26日、東京本社で「自動車のカラートレンド説明会」を行った。同社ではアジア太平洋、北米地域のデザインチームが連携し、社会的な変化や技術的なトレンドなどの研究・分析を行い、今後3~5年の自動車カラートレンドを予測。顧客である自動車メーカーに提供している。

同社の2019-2020年の自動車カラートレンドのコンセプトテーマは「ACT/9(アクト スラッシュ ナイン)」。AIやIoTなどが日常に欠かせない存在となりつつある現在、人々が未来をポジティブに形作っていきたいという欲求を表した。「10がゴールだとすると今は一つ前の9ということで次の時代が到来する前のわくわく感を表現した」(同社カラーデザインセンター・アジアパシフィックチーフカラーデザイナー・松原千春氏)とコンセプトについて語った。

また、このコンセプトに沿って同社では「SHIFT.」「RENDER!」「SHAPE;」と3つのカラーテーマを選定した。「SHIFT.」は、抑揚のある質感で表現した温かみのあるカラー。自然体で人生を豊かに生きるマインドを表現したグレー味の穏やかなブルーやメタリックとパールの両方の質感で変化への柔軟性を表したメタリックシルバーを採用。人間の感覚に訴え、自然界に存在する色が多い。「個人がますます尊重される中でそれぞれが持つ直感的で純粋な感覚や能力は近年進むデジタライゼーションの方向性にも影響を与えている」(松原氏)と説明した。

2つ目のテーマである「RENDER!」はクリアで強いエフェクト感のあるカラーグループ。現在、人々は社会に対する意識も高くなっており、特に1990年代以降に生まれた世代は社会的問題への関心が高い。カラーではその意識を強く持って行動する勢いを現しており、主張の強いメタリックブルーやスパークル感の強いグレーなどを採用した。

3つ目の「SHAPE;」はミステリアスなダークカラーを多く採用した。紫味のグレーなどを取り入れ、バーチャルな世界とリアルで原始的な感情のあいまいさも表現した。一方で淡い色身のメタリックカラーや浮遊感のあるパールでVR(バーチャルリアリティ)やAR(拡張現実)などの新しい体験によって呼び起こされる人間の原始的な感情を表現。また最先端のテクノロジーとの共存もテーマにした。

その他説明会では、同社コーティングス事業部執行役員事業部長の前田孝氏が登壇。「6カ国でカラートレンドを分析することで地域ごとにカスタマイズできる色彩提案を強みに、鋭い分析でカーメーカーへの情報提供を続けていく」と強調した。